2024年 4月 29日 (月)

全日空リード、日航が追う 夢のB787就航で勝つのはどこか

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   中型機だが米国や欧州までノンストップ――全日本空輸に2011年9月末、待望の中型旅客機、米ボーイング社のB787(ドリームライナー)の1号機が納入され、11月から就航する。B787は従来機から燃費が約2割向上し、大型機並みの航続距離を誇る最新鋭機。

   すでに日本航空も導入を決めており、同機の就航は世界の航空会社の経営戦略にも大きな影響を与えるのは必至だ。機体の35%は日本製。「準国産」ともいえるだけに日本の航空機産業も活気づいている。

「ハブ&スポーク」の航空常識を覆す

羽田空港に着陸したボーイング787型機
羽田空港に着陸したボーイング787型機

   B787は、開発の遅れで2008年5月の導入予定から全日空は3年以上待たされた。中型機B767の後継機で、全日空は55機を発注し、2017年までに納入を受ける予定。日航も35機を発注済みだ。

   B787の席数は150~250席程度。大型機より少ないが、航続距離は従来の中型機より30%以上伸び、1万5000キロと大型機並みを実現した。これが、「ハブ&スポーク」という世界の航空の常識にとらわれない運行を可能にする。現在は遠距離の大都市を大型機による大量輸送で結び、そこを自転車の車輪の中央(ハブ)とし、ここで乗り換えて、放射線状(スポーク)に周辺中規模都市へ、というものだ。しかし、新興国の台頭もあって、大都市と中都市、あるいは中都市同士を直接結ぶなど、きめ細かい運行の需要が高まっている。当然、大型機による大量輸送では空席が増えるので、中型機による機動的な運行が求められる。従来からの基幹路線でも、大型機で1日2便飛ばすまでではないが、1便を中型機にすれば採算に合う、といったこともある。

11月から羽田発着が就航、まず国内線で火花

   航空会社は効率の良い航空機を使って、運航路線の収益を上げるというのが基本戦略だ。早くからB787の導入を考えていた全日空はまず、来年1月に羽田-フランクフルト線を新設し、B787を投入。さらに「2012年度中に一つか二つ開設する」と意欲を見せる。中東路線も候補とみられる。

   燃費向上を武器に、主戦場の国内線でも11月1日から羽田-岡山、羽田-広島に就航させるのを皮切りに、55機のうち当初2年で20機を国内に一気に投入する計画。計画通り導入できた場合、燃油費などコスト削減効果は(年間)100億円ほどあると見ている。

   ライバルの日航も早ければ年内にも1号機が納入される見通しで、来年3月までに5機程度を導入、まず4月に新規路線の成田-ボストンに投入する予定だ。

東レ、三菱・川崎・富士重工など活気づく

   B787は1機2億ドル前後。日本の航空機産業にも重要な存在だ。全日空が開発段階から関わったこともあり、多くの日本メーカーが参加している。機体の35%を日本企業が製造し、「準国産」と言われるほどだ。B767は15%、777は20%にとどまっていた。

   例えば燃費効率2割向上の鍵になったのが炭素繊維で、翼や胴体など機体の材料の半分に東レの炭素繊維の複合材を使用している。主要な部分も、主翼は三菱重工業、前胴部が川崎重工業、中央翼は富士重工業といった具合だ。

   エンジンは米国GE製とロールス・ロイス(RR)製の2種類だが、それぞれGE製にIHIが、RR製には三菱重工業と川崎重工業が部品を納入する。

   大量輸送時代の主役だったB747ジャンボの退役に代わるタイミングで登場してきたB787。その愛称「ドリームライナー」が物語るように航空業界の「夢」を背負い、明日を切り開く役目を持つ。すでに世界の50以上の航空会社から、長期にわたり800機以上の発注が決まっているといわれる。製造に深くかかわる日本メーカーも対応した設備増強や人員増などを予定している。

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