2024年 5月 3日 (金)

斎藤佑樹「6勝6敗」で年俸倍増 大盤振る舞いのなぜ

初めての方ご注目!プロミスなら最短1時間融資でお急ぎでも大丈夫!

   ハンカチ王子こと日本ハムの斎藤佑樹投手が、久しぶりに、らしい笑顔を見せた。来シーズンの年俸契約更改(2011年11月28日)で、倍増でサイン。6勝6敗にしては大盤振る舞いである。成績より「集客力」が評価されたようだ。

勝利数だけ見れば「1勝=250万」のルーキー

   「1年間、よく頑張ってくれた」と、日本ハムが提示した数字は3000万円。今シーズンが1500万円だから100%アップとなった。斎藤は「(球団の話を聞いて)来年も頑張ろうという気持ちになった」と語り、一発更改に納得した。

   1年目の1500万円という数字は、新人選手の最高額。斎藤は入団時、「契約金1億円、出来高5000万円」という新人最高年俸で契約した。日本ハムとしては、大学出身投手でもあるところから「2ケタ勝利」を期待していたはずだ。そこから見ると、60%の到達度。「1勝=250万円」の計算である。

   これまでの例なら、現状維持はないが、せいぜい500万円アップの2000万円がいいところ。「来年への期待」というのは当然だが、斎藤には他の選手にはない高い貢献度があった。「集客力」である。

   甲子園(早実)、神宮(早大)で優勝投手という実績と人気を引っさげてのプロ入り。春のキャンプ、オープン戦、そしてペナントレースと、話題を集め、チームの露出度を高めた。球団、親会社から「文句のないPR度」と最大級の評価を受けたほどだった。

   開幕してからしばらくは、斎藤が先発した試合は地元(札幌ドーム)に多くの観客を集めた。初登板の4月17日は前日より9000人ほど増えた(約3万8000人)。5月1日には初めて4万人を超えるファンを呼び寄せた。前日よりおよそ1万2000人の増加だった。

   少なくとも前半戦は「斎藤先発イコール観客増加」となった。「斎藤は、たとえれば最優秀営業マン。彼ほどの営業マンはいない」と関係者が口をそろえた。オープン戦の斎藤の観客動員で、日本ハムはキャンプ費用を軽くペイしたことだろう。

大盤振る舞いに見えるが球団にとっては十分お釣りが来る?

   集客力は「プロの実力」である。どんなに投げ勝っても、どんなに打っても、ファンを呼ぶ魅力がなければ一流とはいえない。

   かつて「選手の年俸は観客動員によって決められるものだ」と言った野球人がいた。西鉄の黄金時代を築き、大洋を最下位から日本一にした三原脩監督である。「風雲児」「魔術師」との異名をとった名将だ。経営にも持論があった人物で、日本ハムの初代球団社長を務めた。その伝からいえば斎藤の評価は当然といえよう。

   大リーグにはかつて、三原のいう「観客動員」に大貢献した選手がいた。1970年代のヤンキースを支えたレジー・ジャクソンという打者で、ワールドシリーズで3連続本塁打を放つなど、ポストシーズン、特にワールドシリーズに強いところから「ミスター・オクトーバー」といわれたスラッガーだ。ヤンキースタジアムは毎試合満員。さらに「レジー・キャンデー」との名前でキャンデーも売られ、ジャクソンの収入はだれも分からないほどの額となった。

   集客の魅力に日本ハムは倍増年俸を払うことになったが、実は大分安く抑えた感がある。シーズン半ばで契約金は取り戻しているだろう。ただファンは、斎藤は「人気先行」と見ている。人気と成績のバランスを巧みに取り入れた語呂のいい100%アップ。日本ハムはよく考えている。斎藤は来シーズン、10勝台に乗せれば「人気+実力」となり、本格的にスターの道を歩むことになる。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中