2024年 4月 20日 (土)

子会社に「高額」天下り、随意契約も横行 東電の「超甘お役所体質」あぶりだされる

   東京都の猪瀬直樹副知事が、2012年4月から電力料金の値上げを表明している東京電力に、「随意契約」の見直しによる経営合理化策を提出した。東京都の試算によると、東電の子会社や関係会社との契約について競争入札を拡大することで年間取引額を3割削減できるという。

   さらには、東電の子会社や関連会社の211の役員ポストのうち、174人が東電から天下っていることが判明。「お役所体質」丸出しの経営実態がさらけ出された。

3割削減「相談しながら取り組んでいきたい」

東京都は、「東電はコスト3割削減が可能」と弾く(写真は、東京電力本社)
東京都は、「東電はコスト3割削減が可能」と弾く(写真は、東京電力本社)

   2012年3月6日に開かれた経済産業省の電力システム改革専門委員会に出席した東京都の猪瀬副知事は、東電が自らの子会社や関係会社と結んだ随意契約を、競争入札にすることで年間取引額を3割削減できると提案した。

   東電の子会社や関連会社は都内に40社、全国に264社もある。猪瀬副知事は東電の子会社や関係会社との取引の85%が随意契約と指摘。取引金額は1720億円にのぼる。

   それを競争入札の拡大や契約内容の精査、単価の引き下げなどによって、年間の随意契約による取引額の3割にあたる516億円が削減できると弾いた。

   随意契約は、相手会社と任意で契約が結べるため、他社との競争力が働かず受注価格が高くなりやすい。猪瀬副知事は「道路公団の民営化でもファミリー企業を精査して固定費を3割削減した。東電の随意契約の見直しは(電気料金を)値上げしようとしている部分の値下げの原資にもなる」と主張している。

   随意契約の見直しは、東電の経営状況を調査した政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」も「1割削減できる」と指摘していた。それが東京都の試算では1204億円までしぼれるというのだから、政府の「見立て」も甘すぎるかもしれない。

   随意契約の3割削減について、東電は「コスト削減については合理化計画に則り努力しているところです。ご指摘いただいた点についても、それを踏まえて原子力損害賠償支援機構と相談しながら取り組んでいきたい」と話している。

   ちなみに、東電が2011年12月に発表した「購買改革」によると、関係会社取引や外部取引先との取引構造の改革や発注方法の見直しなどは、11年度に434億円の削減を目標にしている。ただ、スケジュールでは12年2月に、実行に移されたばかりだ。

常勤役員の年間平均報酬1085万円

   さらに猪瀬副知事は、東電子会社の77社が「受け皿」になり、約170人の常勤役員を受け入れていることも公表。そこでは年間平均報酬として、じつに1085万円が常勤役員に支払われていることも明らかになった。

   しかも、東電OBの受け皿になっている子会社の利益をかさ上げするため、この子会社に委託した社員専用レストランの運営を、実際は別会社に丸投げしていたという。

   猪瀬副知事は「他の子会社とも、こうした取引が常態化して、東電に入るべき利益が入らず、結果的に電気料金の上乗せにつながった」と指摘した。

   一方で、東電は企業向け電気料金を4月から一律平均17%値上げするが、中小企業向けに、節電に応じて夏の電気料金を割り引く「デマンドダイエット」などの新たなサービスの導入を、3月5日に発表した。

   夏場の電力需給対策も兼ねたものだが、東電としては中小企業の値上げへの反発をやわらげたい狙いがある。割引サービスをフルに活用した場合、値上げ幅は9%程度にとどまるとされる。

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