2024年 3月 29日 (金)

貯金と「かんぽ」はやっていけるのか 郵政法案が成立しても悩みは深い

   民主、自民、公明の3党が議員立法で共同提出した郵政民営化法改正案が2012年4月6日、衆議院郵政改革特別委員会で審議入りした。今国会で成立する見通しで、政府は日本郵政株を売却し、震災復興財源に充てたい考えだが、日本郵政グループの経営に展望が開けるかは見通せない。

   小泉政権時代の2005年10月に成立した民営化法は、持ち株会社の日本郵政の下に「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」、郵便配達を行う「郵便事業」、窓口業務の「郵便局」の4事業子会社を置き、政府は持ち株会社株の3分の1超を保有する一方、持ち株会社が保有する「銀行」「生保」の株式は2017年9月までにすべて売却するよう義務づけ(2009年の政権交代後に凍結)。

金融2社株の「完全売却」を断念

   今回の改正案は、金融2社株の売却方針を「全てを処分することを目指す」と、努力目標に格下げし、処分期限も明記していない。また、郵便局と、郵便事業の2社を合併し、グループは現行5社から4社体制に再編される。そうなれば郵便事業と郵便局の2社合併で業務の壁が取り払われ、効率化するという効果もさることながら、なんといっても今回の改正案の最大のポイントは、金融2社株の「完全売却」の断念、つまり2社をグループに残す点だ。

   理由は単純。郵政グループは郵便事業の採算が悪化し、収益面で金融事業依存がいよいよ強まっているのだ。2011年3月期でみると、郵便局会社の営業収益1 兆2563億円のうち、ゆうちょ銀行からの受託手数料収入が約6300億円、かんぽ生命から約4000億円と金融2社で営業収益の約8割を占めている(郵便事業会社からの手数料は約2000億円)。

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