2019年 9月 15日 (日)

電子書籍なのに紙の本より高い 「不思議」な値段設定なぜなのか

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高額な「キンドル」普及のため電子書籍を大安売り

   もちろん国内でも、電子版の価格の方が低いケースは存在する。昨年のベストセラー作品から、サッカー日本代表、長谷部誠選手の著作「心を整える。」を例にとると、紙版が1300円なのに対して電子版は900円。ほかにも同様の事例はある。それでも新刊本の場合、紙版の制作に使ったコンテンツのデジタルデータをそのまま電子版に転用すれば、それほど手間はかからないようにも思える。しかも印刷が不要で、本の在庫管理も省ける。紙の本よりずっと安くても当然だとも考えられる。

   野村総合研究所上級コンサルタントの前原孝章氏に聞くと、「電子書籍が高い理由のひとつは、制作コストの問題」と説明する。ルビをふる、紙版の「趣向を凝らした」デザインをそのまま反映する、画面上で文字の大きさを変えられる仕様にしても改行がずれないようにする、といった細かな作業が発生するため、単純に「自動変換」で電子化できないというのだ。作業者が目視で電子版のページをすべてチェックするという「アナログ」な工程もある。加えて、著者との契約によっては紙版とは別に印税を支払わねばならない。

   もうひとつはビジネスモデルの問題だ。米アマゾンは電子書籍端末「キンドル」を発売した当初、数百ドルと高価な端末を普及させるため、出版社からの仕入れ値よりも安い小売価格で電子書籍を販売、市場で主導権を握るため「出血覚悟」で、言わば電子書籍を宣伝材料に使ったのだ。しかし日本の出版社の場合、自前で端末を販売しているわけではない。電子書籍コンテンツ単体で、制作コストを回収したうえで利益を生むとなれば「紙版より安くする理由がない」(前原氏)。

   アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者は、2012年中の日本市場参入を明らかにしている。現在は電子書籍の小売価格の決定権をどちらが持つのかをめぐって、アマゾン側と国内出版社側とで「綱引き」が行われている最中とみられるが、本格参入となれば出版社の事情にかかわらず、否応なしに電子書籍の「価格破壊」が起きるかもしれない。

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