2018年 7月 21日 (土)

マスメディアとは異なるジャーナリズム―行政・NPO連携の広報紙【福島・いわき発】

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   被災者のための交流スペース「ぶらっと」=イトーヨーカドー平店2階=に情報コーナーがある。行政の広報紙やNPOの情報紙、イベントの告知チラシなどが並ぶ。


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   双葉郡浪江町と富岡町の広報紙が胸にグサリとくる。離散町民の生の声を伝える情報紙ともいうべき「浪江のこころ通信」(浪江町)、「TOMIOKA桜通信」(富岡町)が併載されている(=写真)。3・11後、行政が苦心して編み出した町民との新しい"きずな"のかたちといってよい。


   「浪江のこころ通信」は、浪江のこころプロジェクト実行委員会・東北圏地域づくりコンソーシアム推進協議会・浪江町の三者が編集・発行している。東北圏……協議会は、新潟を含む東北7県の地域コミュニティ再生や協働のまちづくりの推進を目的に、大学・NPO・企業・経済団体・行政などが連携したコミュニティ支援ネットワークだ。


   東日本大震災と原発事故で、浪江町民は福島県内外に分散避難を余儀なくされた。長期化する避難生活、先の見えない不安の中で、町民はどんな思いで暮らし、ふるさとにどんな思いを抱いているのか。その思いをつなげるために"浪江のこころプロジェクト"が立ち上げられた。(「こころ通信」前文から)


   町の広報担当だけではなし得ない、スケールの大きなネットワークの中で取材が進められる。たとえば「広報なみえ」7月号併載の「こころ通信」第13号。京都府や長野県、東京都、あるいは沖縄県などに避難した一家を高崎経済大やNPOが取材した。「桜通信」はどうだろう、町の広報担当だけでやっているのだろうか。


   「こころ通信」も「桜通信」も、一人称の言葉で構成されている。震災発生当時の様子、原発事故による避難、今何をして、何を思っているのか、などがわかる。マスメディア・ジャーナリズムとは異なった、「もう一つのジャーナリズム」の実践例、いやマスメディアがカバーしきれないからこそ、行政・NPOが"谷間"を埋めているのだ。


   被災者の「私」、あるいは「私たち」のナラティブ(物語)が、私には原発震災の罪深さを告発しているように思われてならない。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
■ブログ http://iwakiland.blogspot.com/

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