特集「尖閣最前線・石垣島はいま」第3回
尖閣問題を題材に作文や資料作成 小中学校で少しずつ新しい動き出始める

素朴な疑問「どうして中国はあんなことを言うの」

登野城小・宮良校長
登野城小・宮良校長

   登野城小学校に限らず、石垣市の他の小中学校でも尖閣の領有に関する「特別授業」は実施されてはいない。別の小学校の教諭に聞くと、例えば授業中に「石垣市の一部」「昔、カツオブシ工場があった」という程度の話をすることはあるが、教科書に載っている内容以上に深く入り込まないと話す。

   石垣市教育委員会・学校指導課の崎山晃課長も、これを裏付ける。J-CASTニュースの取材に、「小中学校では、尖閣については教科書の標準的な指導計画の中で教えます」と説明した。授業の流れで「尖閣は石垣市の行政区分である」「住所は石垣市登野城」といった点を紹介する教師もいるが、教育委から各校に「特別にこの内容を取り上げてほしい」との要請を出すことは一切ないと続けた。

   一方で、石垣市に属する尖閣を「もっと知る必要があるのでは」との指摘も出ていた。そこで市では小中学生向けに、尖閣の歴史的な背景や自然などについて分かりやくまとめた資料集の作成を検討している。昔の学術調査資料は残っているが、子どもが学ぶには難しすぎるためだ。2013年度には、中学校の公民の授業に役立つような資料集を作成し、各校に配布して活用を促すと崎山課長は話す。

   登野城小の宮良校長は「郷土を学ぶ教材が充実するのは重要」と評価する。尖閣問題では、中国が領有権を主張して激しい反日デモを繰り返す様子をテレビで見た子どもたちが、「どうして中国はあんなことを言い出すの」と戸惑いながら質問してきたという。これに対して「大人が知らなさ過ぎて、うまく答えられない」との反省が残った。校長は「自分たちの地域や歴史について、子どもたちに押しつけるのではなく、考えさせる機会を与えながら学ばせたい」との教育方針を語った。

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