2024年 4月 25日 (木)

「素手で日本兵両断」「全裸美少女が敬礼」… 中国人も呆れた「荒唐無稽」抗日ドラマの中身

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   武装した日本兵が待ち構える基地に、素手で乗り込む武道家たち。銃弾の雨をかわしながら日本兵にパンチを食らわせると、その体は血しぶき上げて真っ二つに――

   中国で、そんな荒唐無稽な「抗日ドラマ」が氾濫している。特に最近多いのは超人的な「カンフーの達人」や「美女拳士」たちが日本兵をバッタバッタとなぎ倒す、史実無視、エロあり、グロありの活劇モノだ。あまりの状況に、とうとう中国政府まで規制に乗り出した。気になるその内容は――

銃持つ日本兵をカンフーでぶちのめす

中国メディアで報じられた「全裸美少女」。ある抗日ドラマの1シーンらしい
中国メディアで報じられた「全裸美少女」。ある抗日ドラマの1シーンらしい

   日中戦争を舞台にした「抗日ドラマ」は、以前から中国では広く受け入れられていた。その性質上、日本人は常に残忍な悪役として描かれ、最後には中国側が勝利を収める――というのがお約束となっている。

   ところがここ数年、中国国内の反日機運の高まりもあってこうした抗日ドラマの人気が上昇、制作本数も一気に増加した。そうしたブームに便乗して急増したのが、上記のような娯楽性を重視した荒唐無稽な作品、通称「抗日神劇」だ。

   「抗日奇侠」(2010年)は、こうした「神劇」の代表作とされる。個性豊かな中国人武道家たちがチームを組み、日本軍を蹴散らしていくという内容だ。冒頭の「真っ二つ」シーンを始め、

「拳で日本兵の腹をぶち抜き、内蔵を引き抜く」
「美女拳士が軽く触れただけで日本兵がバタバタ倒れる」
「走る車に飛び乗り、窓ガラス越しに手を突っ込んで日本兵の頭を握りつぶす」

など、一昔前のB級カンフー映画や「必殺」シリーズを思わせるような場面が目白押しとなっている。日本側にも一応、剣術使いの美女将校のような強敵はいるが、大半の日本兵は武道家たちの技の前に手も足も出ない。

まるでマトリックス!銃弾かわし弓で狙撃

中国中央テレビの「抗日ドラマ」特集より。日本兵を素手で真っ二つにする武道家
中国中央テレビの「抗日ドラマ」特集より。日本兵を素手で真っ二つにする武道家

   同じく「神劇」の典型と言われるのが、弓の達人の姉弟が、復讐のため日本兵たちに立ち向かう「箭在弦上」(2012年)。

   特に中国ネットで有名なのは、女戦士が数十人の日本兵らに捕らえられ、乱暴される場面だ。胸元をはだけられ、もはやこれまで――と思った瞬間、手元に一本の矢が。その矢でのしかかる日本兵を突き殺すや、素手で周囲の敵を瞬殺し、続いて弓を手にすると一度に3本の矢を撃つ、という得意技であっという間に敵を全滅させてしまう。他の場面では日本軍の部隊に正面から突進、映画「マトリックス」さながらに銃弾の雨をかわしながら、弓ひとつで日本兵を壊滅させるなど、まさに「無双」の強さだ。

   リーゼント頭のイケメンたちが活躍する「向着炮火前進」(2012年)も凄い。中国軍の襲撃から車で命からがら逃げ出した日本兵だが、一本道の先には大砲、そして屋外にもかかわらず高そうなソファに腰掛けた主人公が待ち構えていた。もちろん日本兵はなす術もないまま、大砲で車ごと吹っ飛ばされてしまう。

中国政府もとうとう規制に乗り出す

   日本人が悪役扱いされる抗日ドラマとはいえ、ここまでバカバカしいとむしろ笑える、という人も多い。実際、ネット上でこうした作品の動画を見た人からも、

「完璧なギャグ映画じゃん むしろ1周して親日に見えるわw」
「TV局はくそつまらない韓流ドラマじゃなくてこっち買い付けてこい」

と好意的な反応が目立つ。

   とはいえ中国国内ではやりすぎとの声が強く、特にあるドラマが「全裸で八路軍に敬礼する三つ編み少女」を登場させたことにはネットを中心に批判が殺到した。人民日報や中国中央テレビなども2013年3月ごろから相次いでこうした「神劇」を槍玉に挙げており、政府がこれまで比較的ゆるかった抗日ドラマへの検閲を強化したとも報道されている。放送局による自粛の動きもあり、「抗日ブーム」は沈静化しつつある。

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