2024年 5月 2日 (木)

大胆で効果的な内容が突然出てくるはずはない アベノミクス「第三の矢」に新味は少ない

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   政府は2013年秋に召集する臨時国会に向け、「産業競争力強化法案」の策定を急いでいる。強化法は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の「第三の矢」である「成長戦略」を具体化するためのもので、日本経済復活のカギを握るとされる。だが、日本経済をけん引するための十分な規制緩和などが実現できるかには既に疑問の声も上がっている。

   アベノミクスは大胆な金融緩和という「第一の矢」、大規模な財政出動という「第二の矢」を放ち、景気回復への期待感を高めると同時に、「第三の矢」で景気回復に実質的な効果をもたらし、日本経済を成長軌道に乗せようという筋書きを描いている。

規制改革を、地域対象の従来型ではなく、企業を対象とする新しい試み導入

   政府は「第三の矢」の骨格ともなる競争力強化法案を、安倍首相自身が「成長戦略国会」と位置づける秋の臨時国会に提出し、電力システム改革を目指す電事法改正案などとともに成立に持ち込みたい構えだ。

   7月末までに明らかになった競争力強化法案の概要によると、(1)規制改革の推進(2)事業の新陳代謝の活性化(3)産業競争力関連施策――の三つを骨格とする。

   具体的には、企業単位で規制を緩和する企業版の特区システム「企業実証特例制度」の新設や、医療・健康関連など法規制がわかりにくい新しい分野で、国が新規参入企業に適法範囲などを明示する「グレーゾーン解消制度」の創設などを盛り込んでいる。

   特に、企業実証特例制度は、規制改革を、地域対象の従来型ではなく、企業を対象とする新しい試みで、政府が検討中の「国家戦略特区」と並んで注目されそうだ。法案ではこのほかにも、事業の再編・統合などによる企業の事業革新を後押しする施策の実現なども盛り込む見通しだ。

規制緩和が十分かについては疑問

   法案は全体として、企業の国際競争力の強化や成長が期待される新規事業の拡大・促進を狙っているが、成長戦略を具体化するための規制緩和が十分かについては疑問が少なくない。実際、政府関係者からは法案の中身について、「厳しい経済環境の中でこれまで検討されてきたものがほとんどで、大胆で効果的な内容が突然出てくるはずもない」と、さして新味がないことを認める。注目の企業実証特例制度についても、複数企業による取り組みが前提となるなど、どこまで大胆な改革に道を開けるかは見通せない。

   政府が6月に策定した成長戦略はそもそも、大規模な規制緩和が必要と指摘され続けてきた農地の企業保有自由化や労働規制改革などが盛り込めず、市場の失望を買った。アベノミクスの第一、第二の矢の効果には限界があり、第三の矢こそがアベノミクスの成否を決めるという現実の中、強化法案をより実効性の高いものにすべきとの期待は高まっている。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中