2024年 4月 24日 (水)

長谷川三千子NHK経営委員が特派員協会で会見 「拳銃自殺賛美」批判に釈明、「私自身の解釈述べた」

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   埼玉大名誉教授でNHK経営委員の長谷川三千子氏が2014年4月15日、日本外国特派員協会で会見し、右翼団体幹部の野村秋介氏(当時58)が朝日新聞社で拳銃自殺したことを賛美するともとれる原稿を追悼文集に寄稿したことについて、自殺は「ミステリー」で、寄稿は「私自身の解釈を述べた」ものだと釈明した。

   いわゆる河野談話や村山談話の見直し問題について、見直しの必要性については直接の発言を避けたものの、「何が事実なのか調査は続けなければならない」として事実関係を検証するように求めた。

野村氏の自殺は「近い人にとってもミステリー。三島由紀夫と同様」

会見に臨む長谷川三千子氏
会見に臨む長谷川三千子氏

   長谷川氏は、野村氏の没20年を機に発行された文集に、

「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどと露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」

といった文章を寄稿。これが「テロ賛美」といった批判を受けていた。

   この日の会見のテーマは、安倍政権が推し進める「積極的平和主義」。野村氏の自殺が「積極的平和主義なのか」と問われ、長谷川氏は

「ある意味では、そうだ。一部のジャーナリストには、これが『ジャーナリズムへのテロ』だという誤解がある。本当にそれ(自殺)が意味するところは、彼に近い人にとってもミステリーだ。大きな謎(エニグマ)を残した三島由紀夫の自殺のようなものだ。多くの解釈があり得る。彼(野村氏)の自殺について、私自身の解釈を述べた」

と述べた。また、文集の

「わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)再び現人神となられたのである」

といった記述を念頭に、持論も展開した。

「この解釈は、私の近著『神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午』(中央公論新社)で述べたことと密接に関連している。本では、平和主義者の深層には何があるかを解明しようと迫った。短く言うと、我々の天皇陛下への尊敬の念は、『天皇陛下は常に自らの命を日本の先人(old people)のために投げ出す用意がある』という点にある」

河野、村山談話については事実関係の調査求める

   いわゆる河野談話や村山談話については、放送法の第4条第3項の

「報道は事実をまげないですること」

という記述を「黄金律」(ゴールデンルール)だとして、

「これは放送だけではなく、ジャーナリズム全体、歴史全体にも当てはまる。政府も同様だ。特に大昔の事件について事実関係を調査することはきわめて困難だが、それでも、何が事実なのか調査は続けなければならない」

と主張。まずは事実関係を改めて調査すべきだとした。

   長谷川氏は、これまでの平和主義を「『闘いには参加しない』という意思表示」の側面が強いとして「精神的平和主義」と定義。積極的平和主義についても

「常に戦争ギリギリのところまで行く危険がある。戦争そのものになることもある。戦場と安全な場所との明確な境目もない。積極的平和主義的活動では、戦場や戦争に行く決心をする必要がある。これが重大なパラドックスだ」

と問題点を指摘、2つの平和主義のベストミックスが必要だとした。

   長谷川氏は会見冒頭、

「NHK経営委員会としてでも、安倍さんの『お友達』としても話すつもりはない。『自由な個人』として話す」

などとして個人の発言だということを強調。90分にわたる会見でのやりとりをすべて英語でこなした。

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