日中閣僚会談、約5か月ぶり実現の裏事情 中国の狙いはTPPけん制
2014.05.22 11:23
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「切り崩し」に躍起
こうしたTPP関係国の牽制に余念がなかったのが中国だ。高商務相は、今回の会合でカナダ、メキシコ、ペルー、マレーシア、ブルネイの貿易相と相次ぎ会談し「地域の経済統合は開放的で透明性を持つべきだ」と暗にTPPを批判。TPPを主導するフロマン氏の眼前で陣営の「切り崩し」に努めた。高商務相は開幕前日の16日にもTPPへの参加を検討する韓国の尹相直(ユン・サンジク)産業通商資源相と会談し、中韓自由貿易協定(FTA)の早期締結への期待を表明した。
貿易や投資で高いレベルのルール作りを目指すTPPを、自国に対する「包囲網」と警戒する中国にとっては、米国が加わっていないRCEPの方が自国に有利な貿易の枠組みを作れると考えていることは間違いないのだ。
今回実現した日中閣僚会談について、詳細な内容は公表されていない。だが、「中国にとっては『TPP切り崩し』の一環ととらえる方が自然」というのが複数の日本政府関係者の受け止め方だ。
日本にとっても対中関係の改善が待ったなし。難航するTPPを加速する姿勢を貫くことは、中国の対日姿勢に変化を迫る有力な外交カードになると見た方がよさそうだ。