2020年 7月 2日 (木)

佐世保殺人1週間、二転三転の「動機探し」 見えぬ「心の闇」…まるで「異邦人」の声も

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「エイリアン」とカミュ「異邦人」

   そうした中で、ネットでは「理由なき殺人か。まるで『異邦人』の世界だな」という声も出ている。

   『異邦人』はフランスの作家アルベール・カミュ(1913~1960)が1942年に発表した作品。主人公のムルソーは、ささいなことからアラブ人を射殺し、逮捕される。裁判になっても反省の色を見せず、殺したのは「太陽が眩しかったから」と述べ、平然としている。理性が届かない主人公の姿に周囲は戸惑い、カミュは「不条理の作家」と言われてきた。

   この小説の冒頭は、「きょう、ママン(母)が死んだ」という有名な一文から始まるが、今回の事件でも、加害少女の母が死んでいる。また、少女は中学の英語の弁論大会で、いきなり「私の父はエイリアン」と語りだし、びっくりさせたという報道もあるが、英語のエイリアンは「異邦人」と訳されることもある。

   そんなこともあり、ネットの一部では「『異邦人』の精読こそ、特にムルソーに徹底的に寄り添いながら読んでいく方法こそが、『人を殺してみたかった』少女の心理解明につながるのではないか」という指摘もある。

   もっとも少女は、ムルソーと違って、今回の事件の前からいくつかの異常行動を指摘され、精神科の診断も受けていた。また、犯行に使った工具などを事前に準備するなど計画的な要素も指摘されている。そのため、捜査関係者の中には「まだ逮捕されたばかりでもあり、これから徐々に本当の話が出てくるのでは」と見る向きもあるようだ。

   長崎地検が今月中旬にも、精神鑑定を実施するための鑑定留置を裁判所に請求するということも報じられている。少年事件では検察の送致後に家庭裁判所が精神鑑定することが多いが、今回は、事件の特異性から、捜査段階で刑事責任能力の有無を調べる必要があると判断しているようだ。

   沈黙を続けていた少女の父親は3日、代理人の弁護士を通じて、謝罪のコメントを発表した。「私の娘が起こした事件により、何の落ち度もないお嬢様が被害者となられたことについては、おわびの言葉さえ見つかりません」「人生の喜びや幸せを経験する時間を奪われ、帰らぬ人となったお嬢様の苦しみと無念さ、ご両親さま、親族さまが受けた衝撃と悲しみの深さを深慮し、胸が張り裂ける思いでいっぱいです」「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。

   自分の娘がこのような大事件を起こすことを防げなかったことについては、「複数の病院の助言に従い、できる最大限のことをしてきたが、力が及ばず、誠に残念」と記している。

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