2024年 5月 4日 (土)

「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(6)
習近平体制成立以降ウイグル人弾圧が激化 6万台のカメラで監視、暴力支配が横行
日本ウイグル協会会長、イリハム・マハムテイ氏に聞く

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外では「反日」、内では少数民族を弾圧

――ただ、こうした事件が続くと「ウイグル人は危ない」という印象が定着するかもしれません。ウイグル人の置かれた現状をどのように訴えていきますか。

イリハム 仮に爆破事件を起こしたのがウイグル人だとしたら、それは個人の怒りを爆発させただけの短絡的な犯行で、ウイグル人社会にどれほど悪影響をもたらすかに思いを巡らせておらず、手法も考え方も私は全く賛成できません。
   一方で今は、ウイグル人が中国において正当な方法で権利を主張することなど不可能なのも事実です。もともとウイグル人が多い地域ですら、後から入ってきた漢人に職を奪われて経済を握られ、ウイグル文化は軽視され、イスラム教の信仰までもが妨害されています。いまや「恐怖政治」が敷かれ、治安部隊はやりたい放題、ウイグル人は口をつぐむしかありません。
   中国では今、多くの社会矛盾のせいで国民の間でたまりにたまった不満が爆発寸前です。そこで習近平指導部は、外では「反日」をエスカレートさせ、内ではウイグル人やチベット人、モンゴル人といった少数民族を弾圧することで、漢人の怒りの「ガス抜き」をねらっているのです。また、爆発事件をウイグル人の犯行だと宣伝すれば、政府に不満を持っている漢人の知識層が「ああ、ウイグル人はやはり危険な存在だ」と警戒するようになり、私たちは一層不利な状況に追い込まれるでしょう。
   繰り返しますが、中国のウイグル人は厳しい監視下にあり、自分の命を守るのが精いっぱいの日々です。海外に住む我々がウイグル人の置かれている現状を国際社会にアピールし、理解を深めてもらう働きかけを進めています。ただ、中国との経済的な結び付きを優先する国は少なくないため、我々に追い風が吹いているとは決して言えません。

イリハム・マハムテイさん プロフィール
イリハム・マハムテイ 中国・新疆大学卒業後2001年に来日。IT企業勤務を経て08年に日本ウイグル協会を設立する。ノーベル平和賞にノミネートされたウイグル人活動家、ラビア・カーディル氏とともにウイグル人の人権問題解決に取り組む。

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