2024年 4月 16日 (火)

消費増税延期で15年度の税制改正、仕切り直し 自動車取得税、法人税、酒税・・・影響、多方面に

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   消費税率の2015年10月再引き上げが1年半延期されたことで、2015年度の税制改正作業が見直されることになる。

   車を買う時にかかる自動車取得税(地方税)の廃止が先送りになり、法人実効税率の引き下げ幅に波及するとの見方が出るなど、再増税を前提とした制度改革は軒並み延期、仕切り直しになる。

税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せ

   アベノミクスの最重要の柱である法人税改革では、現在約35%の法人実効税率を「数年で20%台に引き上げる」と決めている。そのために、赤字企業にも課税する外形標準課税の強化、企業が抱える赤字を翌年度以降に損金算入できる繰越欠損金制度や企業が受け取る株式配当の非課税制度の縮小など代替財源の確保の議論を詰めてきた。

   しかし、再増税の延期で、2015年度は約1.5兆円の税収が消える一方、自民党は衆院選公約で、消費税率を10%に引き上げる2017年4月までの間にも、子育て支援や介護などの社会保障サービスを充実させる方針を盛り込み、財政健全化も「目標達成の計画を来夏までに策定」と目標堅持を明記した。そのための財源確保は容易ではなく、税制の多くの分野で増税延期のしわ寄せが及ぶのは必至とみられる。

   法人税について宮沢洋一経済産業相は「2015年度から(実効税率を)2.5%以上引き下げ」と、減税先行を表明していたが、「財源確保のため、税率の下げ幅圧縮が必要」(与党税調筋)との声が聞かれる。

自動車業界の「悲願」先送り

   法人税以外では、まず、廃止先送りが必至となったのが自動車取得税(自家用乗用車の場合)だ。同税は購入価格の3%分を負担するもので、併せて消費税が課されているため、「二重課税」と批判する自動車業界にとって、その廃止は悲願だった。

   自民、公明両党は2013年末にまとめた2014年度税制改正大綱で、消費税率を10%に引き上げるのと同時に自動車取得税を廃止し、地方財源に穴が開かないよう、購入時に燃費性能に応じて課税する新税の導入を明記した。エコカーの普及促進と一石二鳥の狙いだったが、消費増税の先送りで新税をめぐる議論はストップを余儀なくされ、取得税が2017年3月末まで継続されることになる。

   親などから住宅購入資金を援助された場合、最大1000万円まで贈与税がかからない優遇税制も影響を受けそうだ。同優遇措置は今年末で期限が切れることになっているが、政府・与党は来年以降も数年間延長する方針をすでに固めているので、廃止されることは考えられないところ。ただ、国土交通省が要望する非課税枠の3000万円などへの拡充は難しくなったとの見方が出ている。

自治体間の税収格差調整もストップか

   政府・与党が2015年度からの実施を検討しているビール系飲料にかかる酒税の格差縮小にはプラスの影響も指摘される。ビールにかかる税額を引き下げる代わりに、ビールより税額の少ない第3のビールなどを引き上げて「平準化」しようというものだ。消費税増税と時期が重なれば「庶民向け低価格飲料へのダブル増税」との批判が出る懸念もあったが、消費税アップが先送りになり、「ビール類の課税見直しの単独実施なら、消費者の理解を得やすい」(財務省筋)というわけだ。ただし、低価格の第3のビールなどの価格上昇を招く「平準化」自体への反発は根強く、すんなり決着するかは、予断を許さない。

   同じく消費税引き上げに連動して2015年度に改正されるはずだった自治体間の税収格差を調整する仕組みの具体化もストップだ。

   消費税の一部は「地方消費税」(現行1.7%分、消費税率10%時で2.2%分)として自治体に配分され、消費の多い東京、大阪など都市圏ほど財源が増えることになる。そこで、政府・与党は、消費税よりも自治体間の偏りが大きい地方法人税を国が一度受け取り、一部を税収の少ない自治体に回すなど、新たな財政調整の仕組みの導入を検討していた。自治体間の利害が錯綜する難しい議論だが、来年以降に先送りになる。

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