5億6000万円で契約――。青木宣親のサンフランシスコ・ジャイアンツ入りが決まった。今度は大都会の名門チームで、日系人も多く、さらにハッスルプレーが見られることだろう。都会チームでのプレーにあこがれていた?日本人にもなじみ深いサンフランシスコが次の舞台だ「ワールドチャンピオンになれるチームでプレーしたい」こう言っていた青木の夢がかなった。2015年1月16日に1年、470万ドルで合意。16年についてはジャイアンツがオプションを持つ。昨シーズン、青木はカンザスシティー・ロイヤルズの1番打者として活躍。ア・リーグ優勝に貢献し、ワールドシリーズではナ・リーグ優勝のジャイアンツと戦った。第7戦までもつれ込んだ末に敗れたものの、ロイヤルズ旋風を巻き起こした。青木はそのライバル球団に移ったというわけである。振り返ってみると、ワールドシリーズで負けた直後に、今度は世界一を狙えるチームでプレーしたい、と発言していた。すでにロイヤルズと残留交渉は決裂状態にあったのだろう。敗戦直後に移籍をほのめかすようなことは、日本球界では到底考えられない。青木はすっかり大リーガーになっていた、ということなのだろう。それと、これまで在籍したチームは、ミルウォーキーやカンザスシティーなど地方都市ばかり。ニューヨークで活躍する黒田博樹や田中将大、あるいはボストンで頑張る上原浩治ら都会チームでのプレーにあこがれていたのかもしれない。今年もっとも注目される日本人打者ジャイアンツが青木の獲得に走ったのは、レギュラー外野手の1人がフリーエージェントで他球団に移ったからである。青木との契約が1月と遅かったのは、候補選手が数多くいたことを示している。「青木はバットコントロールに優れ、三振が少ない。足も速く、守備もいい」これがジャイアンツの評価である。過去3年間の成績を見ると、まず感じるのは安定していること。3シーズンとも規定打席に達しているのは、いかにチームにとって必要だった選手であることを表している。438試合に出場、461安打、19本塁打、130打点、打率2割8分7厘。これが大リーグ通算成績。あまり注目されていないのが、左打ちながら左投手に強いことで、昨年は3割6分3厘とよく打った。常時出場の決め手となった。青木は今年、もっとも注目される日本人打者となるだろう。同じ外野手のイチローに代わる存在になるのは確実だ。川崎宗則はトロント・ブルージェイズと契約したものの、マイナー契約で年俸は低い。青木の時代である。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷齊)
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