イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件で、在日ムスリム団体「イスラミックセンター・ジャパン」(東京都世田谷区)が2015年1月23日、抗議声明をフェイスブック上に発表した。冒頭、「重大な過ちを犯している」と「イスラム国」を断じ、「良識的な意見に耳を傾け、人質を即座に且つ無条件で解放するように要求します」と主張した。「日本はイスラム国に宣戦布告しない国」「イスラム国」を強く非難した(画像は「イスラミックセンター・ジャパン」の公式フェイスブックページより)文中ではその「理由」を5つ提示している。1つは「日本が、パレスチナとイスラエルが紛争をしている際に、パレスチナに対して支援をする等、多くの場面において、相対的に公正な立場」をとってきたこと、2つは日本がパレスチナに対する最大の援助国であること。3つはイスラム教徒が日本で平穏無事に暮らしていること、4つは日本にいるイスラム教徒の宗教活動に政府が干渉しないこと、5つは「日本がイスラム国を含めいかなる国に対しても宣戦布告をしない唯一の国」であること。5つ目に関しては「おそらく最も重要な理由」と強調している。続いて、「日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与える」と警告、「このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだ」「日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もない」と厳しく非難した。声明文の最後には「アッラーは、宗教上のことであなたがたに戦いを仕掛けたり、またあなたがたを家から追放しなかった者たちに親切を尽くし、公正に待遇することを禁じられない。本当にアッラーは公正な者を御好みになられる」というイスラム教の聖典「コーラン」の記述にも言及し、人質の殺害がコーランの教えにも反すると主張した。感謝と賛同の声、続々やや遅すぎたかもしれない抗議声明だが、大きな反響を呼び、23日16時20分現在、780以上シェアされている。「ISILに届きますように。強く願っています」(原文ママ)「日本にいらっしゃるモスリムの方々が私たち、日本人とともに仲良くしていただいてることに感謝し、『イスラム国』を自称する愚かなテロリストとモスリムの方々が関係ないことを広めて行きたいと思います。シェアさせて頂きます」(原文ママ)「シェアしました。『人質の殺害は、コーランの教えにも反します。アッラーが、コーランのAl-Mumtahana(試問される女)章8節で述べられています』。こういうことはイスラム教を詳しく知らない私たちには言えません。言ってくれてありがとう!」「有難うございます。同時に今までイスラム世界を知ろうとしなかった自分を恥じています。本当にありがとう、皆様のお気持ちに感謝しています」など、抗議声明を出したことへの感謝と賛同が目立っている。また、さらに、「パソコンインターネットの文字の世界から出て来て、街頭でやってください。テレビカメラが来るでしょう。新聞社が来て広めてくれるでしょう。インターネットやモスクの中で叫んでも何の役にもたちません」と、リアルな世界での活動を要望する声もあった。
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