「都構想で住所から『西成』をなくせます」――。大阪市をなくして5つの特別区を設置する、いわゆる「大阪都構想」をめぐり、住民投票で賛成票を投じるよう呼びかける謎のビラが2015年5月14日ごろからインターネット上に出回っている。「マイナスイメージを消して」「若い人が出ていってしまう西成区」など、西成区の悪いイメージを強調した内容に、地元に愛着がある住民からは反発が広がっている。ビラには「大阪維新の会」と書かれているが、同党は「党として作ったものではない」という。いまのところ誰が作成、配布したのか分かっていない。「『中央区岸里』などの地名になって、イメージチェンジを!」2015年5月17日に住民投票にかけられる都構想案は、17年4月に大阪市と現在の24区をなくして、5つの特別区を新設する。西成区は新・中央区に編入される。新しい区割りでは、いまの住所に特別区の名前がつく形が基本だが、住民の意見を聞いて町名が変更される可能性がある。そのため、このビラは「都構想で住所から『西成』をなくせます」と訴えているようだ。しかし、「『西成』のマイナスイメージを消して、住みよい便利な町として人を呼びこむ」「『中央区岸里』などの地名になって、イメージチェンジを!」など、西成区のイメージが悪いことを強調する表現ばかりが目立つ。実際に同区内にある、日雇い労働者が集まるあいりん地区では過去に暴動が起きたことがある。ツイッターでも「確かにマイナスイメージ強い」という意見はあるものの、「そんな名前、捨てたくて当然という前提が失礼きわまりない」「土地に愛着のある住民への配慮がない、あまりにデリカシーに欠けるビラだと言わざるをえない」「西成という名前に誇りを持って大切にしてきた人にとってあんな酷いことない」と反発する意見がほとんどだ。維新の会「党として作ったものではない」ビラには「橋下市長があいりん地区をきれいな町にしました」と、警察の見回り強化や不法投棄の回収が進んだなど、橋下市政の成果をアピールする記述もある。住民投票で「賛成」票を投じるよう訴え、末尾には「5.17大阪維新の会」と書かれている。そのため多くの人が、ビラは大阪維新の会が作成、配布したものだと思ったようだ。しかし、同党はJ-CASTニュースの取材に「党として作ったものではない」と回答。誰が作成、配布したのか調査しているという。ビラがネット上で拡散されだしたのは2015年5月14日ごろからだ。しかしJ-CASTニュースが確認したところ、市内のどこで、誰が配っていたのかを明記した書き込みは見つけられなかった。
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