女優の市原悦子さん(79)が出演したNHKの番組で「かたわ」「毛唐」という言葉を口にし、アナウンサーが後で謝罪する一幕があった。いずれも体が不自由な人や外国人に対する表現で、メディアなどでは使用が避けられている。しかしネット上では市原さんの発言を非難する声はほとんどなく、「前後の文脈上問題ない」「差別意識はない」と擁護する意見が多い。「やまんば」への思い入れ語る場面で・・・市原さんは2015年5月22日に放送された「あさイチ」にゲスト出演。「まんが日本昔話」のナレーションを務めた思い出話に話題がおよび、「一歩一歩やっていくほかない」「風が吹いたらいい季節だなあと感じるようになった」と同番組に教えられたことが多いと振り返った。続けて、一番好きな話は「やまんば」だとし、「私のやまんばの解釈は世の中から外れた人。たとえば『かたわ』になった人、人減らしで捨てられた人、外国から来た『毛唐』でバケモノだと言われた人」と発言。世間から疎外され、山に住んでいた人たちが「やまんばの原点」になったと思うと説明した。また、やまんばのキャラクターが「魅力的で大好き」な理由について、「彼らは反骨精神と憎しみがあって他人への攻撃がすごい。そのかわり心を通じた人とはこよなく手をつないでいく。その極端さが好き」と笑顔で語った。井ノ原快彦さんも「虐げられているから愛情を欲しがるんですね」と応じ、スタジオは「日本昔話」トークで盛り上がった。謝罪後、市原さんの表情がこわばったしかし番組の終盤、有働由美子アナが、「さきほどのコーナーで『かたわ』『毛唐』という発言がありました。体の不自由な方、外国人の方を傷つける言い方でした。深くお詫びします」と謝罪。するとツイッターなどネットには番組の対応を疑問視する意見が相次いだ。「『当時差別された人』の文脈で使ってるんでまったく問題ないと思う」「昔話の解釈にちなみ、あえて使った表現だろう。綺麗な表現に置き換えたら、本質が伝わらない」「番組は見たけれど、悪意が無い分さほど気にならなかった」など、あくまで「表現の一手法」「悪意はない」とする意見が多かった。また有働アナの謝罪後、市原さんの表情がこわばっていたと指摘する声があり、同情する書き込みも目立った。今回のような言葉は「放送禁止用語」などと言われるが、法規制がある訳ではなく、あくまでテレビ局などの自主規制による。たとえばNHKで「片手落ち」が使われなくなった経緯について、経済評論家で元職員の池田信夫さんは「けしからん」と抗議を受けたからだと2006年のブログで明かしている。NHKは「かたおち」と言い換えている例が多いようだ。また作家の乙武洋匡さんは11年6月、ツイッターで、「『カタワ』はNGで、『障がい者』はOKと誰が決めたのか。誰の感情に合わせた線引きなのか。まったく分からない」と疑問を呈したことがある。なお市原さんの発言に「浅草キッド」の玉袋筋太郎さんはツイッターで「かましまくる!」とはしゃいだ。自身もデビューから15年に解禁されるまでNHK出演時に番組から自主規制で「玉ちゃん」と名乗らされていた不満があったのかもしれない。
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