「高けりゃええもんちゃうで」――三菱地所(東京都千代田区)がJR東京駅前に「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)を超える高さ日本一のビルを建設すると発表し、大阪人がネットで「負け惜しみ」に似た声を寄せている。あべのハルカスは着工から2年後の2012年に横浜ランドマークタワー(横浜市296メートル)を抜き、高さ日本一のビルとなった。開業当時は、入居する売り場面積日本最大の百貨店とともに「日本一」を押し出し、アピールしていた。あべのハルカスの上に通天閣を移築、という斬新な案も2015年8月31日に三菱地所が発表した建設計画によると、ビルは地上61階、地下5階建て高さ約390メートルで、2027年に完成予定。JR東京駅日本橋口に隣接する常盤橋地区の再開発プロジェクトの一環で建設され、総事業費は1兆円を超える。一方、高さ300メートルのあべのハルカスは10年に着工、14年3月に全面開業した。屋上の展望台からは大阪城だけでなく隣県の六甲山や明石海峡大橋まで見渡せる。また、地下2階から地上14階に入居する「あべのハルカス近鉄本店」は百貨店として日本最大の売上面積で、開業当時は2つの「日本一」という形でアピールしていた。しかし、東京駅前に新しく建つビルはあべのハルカスの高さを90メートルも上回る予定だ。計画通り建設が進むと、あべのハルカスが高さ日本一を維持できる期間は15年、ということになりそうだ。大阪人とみられる人々はツイッターに「なんか悔しい~」「もう死ぬまで寝込むわ」といった悲しみの声や、「なんでもかんでも高けりゃええもんちゃうで何やの東京は」「ビルの高さでも日本一になりたいんか」など負け惜しみにもとれる声を寄せた。また、至近距離にそびえる通天閣(100メートル)をあべのハルカスの上に移築してはどうか、という斬新な案も飛び出している。三菱地所はあべのハルカス全く意識せずあべのハルカスを保有する近畿日本鉄道(大阪市天王寺区)は、この記録更新について「近鉄グループの、そして大阪のランドマークとして、これからも国内外から多くのお客様をお迎えし、あべの・天王寺地域、さらには関西経済の活性化に少しでも貢献できればと考えています」とのみコメントしている。あべのハルカスに高さ日本一の座を奪われた横浜ランドマークタワーは、三菱地所の保有するビルだ。三菱地所は前回の借りを返すために新しいビルを建設し、「1位を奪還しようとしている」のではないか。そんなうがった見方もネットで見られる。もっとも三菱地所の担当者は「それは全くありません」とあっさり否定。「それはそれ、これはこれですから」と話した。
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