2024年 4月 23日 (火)

スロートレーニング ダイエットに美肌効果といいことだらけ

   「筋トレってツラそうだし、ジムに通わないと行けないし、面倒だな~」と思い込んでいる人にオススメなのがスロートレーニングだ。

   プロのアスリートから認知症が心配な高齢者まで、それぞれのレベルに応じて運動効果があがる。しかも道具は必要なく、自宅で簡単にできて、ダイエットや美肌効果もあるという、いいことだらけのトレーニングなのである。

  • 腕立て伏せもゆっくり上げて、腕を伸ばし切らないのがコツ
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「空気椅子」があり、その上に座る感じで

   スロートレーニング、略してスロトレは、文字通り「ゆっくりした動作」で行うトレーニングだ。それがどうして効果があるのか、いちばん基本的なエクササイズの下半身を鍛える「スクワット」を例に説明しよう。動作はこうだ。

(1)両足を肩幅に開いて、両手を太ももの付け根に置く。そのまま、1、2、3、4とゆっくり数えながらしゃがみこむ。しゃがみこんだら、姿勢を止めずに、5、6、7、8、とゆっくり立ち上がり、ヒザが伸びきる手前でストップする。
(2)またしゃがんで同じことを5~10回繰り返す。呼吸方法は、息を吸いなが    らしゃがんで、吐きながらヒザを伸ばしていく。

   普通のスクワットだと、立ち上がった時は関節を伸ばして小休止するが、スロトレでは関節を伸ばし切らず、動作を続けるのがポイントだ。休まずに終始力を入れっぱなしだから、ゆっくりした動作なのに結構キツく、筋肉がパンパンになる。イメージとしては、何もないところに「空気椅子」があり、その上に座った状態を維持しながら動作を繰り返す感じになる。これが、重いダンベルを持って行う普通のスクワットと同程度の運動効果をもたらすのだ。

   スロトレを研究し普及に努めている石井直方・東京大学教授(身体運動科学)の著書『一生太らない体のつくり方』などを見ると、メカニズムはこうだ。

   重いダンベルを持って激しい運動をすると、筋肉が損傷し、乳酸が血液中に分泌される。すると脳が筋肉を修復する指令を筋肉組織に伝え、筋肉が補修される。修復した筋肉は前より太くなる。つまりトレーニングとは、筋肉を傷めて、さらに丈夫に補強することで運動能力を高めるのだ。

脳をだまして、重い器具の筋トレと同じ効果に

   スロトレも違う仕組みで同じ結果をもたらす。筋肉が収縮した状態で動作を続けるので血流が悪くなる。すると血液が無酸素状態になり、乳酸が分泌される。脳は乳酸の分泌を感知し、「激しい運動をした」と勝手に思い込み、筋肉修復の指令を出す。スロトレはわざと血流を悪くして脳をだまし、激しい筋トレと同じ効果を生みだす。また、筋肉を修復する時には、細胞の生まれ変わりを促進する成長ホルモンが分泌される。成長ホルモンは、脂肪を分解したり、体の新陳代謝を活発化させたりして、ダイエットや若返り効果も期待できる。

   石井教授は著作の中で「『やせたいなら筋肉をつけろ』です。なぜなら消費カロリーの多くは、普段ボーっとしていても消費する基礎代謝の量にかかっています。基礎代謝の量は、筋肉の量にほぼ匹敵します。ウォーキングだけでは、しょせんおにぎり1個分にしかならない」と語っている。

ひざ痛や腰痛、血圧の高い人でも無理なくできる

   スロートレーニングは、米国のバスケットボールやフットボールの選手にも広がっている。プロのアスリートにとって、重い器具を使ったトレーニングは、靭帯の損傷や筋肉の断裂を引き起こす危険があり、選手生命に影響する。スロトレなら膝や関節への負担が少ないのでケガの予防をしながらトレーニングできるからだ。日本でも各地の高齢者向けの健康教室で取り入れるところが増えている。ここでスロトレのメリットをまとめてみよう。

(1)じんわりと行うので、普段あまり使わない細かい筋肉や体幹の奥の筋肉を刺激することができる。
(2)ゆっくりと行うので正確なフォームを保ちやすく、効果があがりやすい。
(3)場所をとらず、器具もいらないので自宅でできる。
(4)ひざ痛や腰痛、血圧の高い人でも無理のないレベルで行うことができる。

   最後に、石井教授がテレビなどで推奨している、高齢者でもできる初心者向けの基本的なエクササイズを紹介しよう。

【ニートゥチェスト】(腹筋と下腹部、特に大腰筋に効き、高齢者の転倒予防に)
(1)椅子に座って右足をゆっくり上げる。息を吐きながら胸に近づける。
(2)その右足を、息を吸いながらゆっくり元に戻す。
(3)今度は左足で同じことを繰り返す。

【ニーアップ&バックキック】(体幹とお尻を鍛え、体のバランスをよくする)
(1)椅子につかまり、太ももをゆっくり上げていく。そのまま、ゆっくり膝を伸ばして後ろに蹴っていく。その足をゆっくり戻す。
(2)反対側の足で同じことを繰り返す。ポイントは、息を吐きながら上げ、息を吸いながら蹴る。股関節を大きく動かすこと。

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