2024年 5月 4日 (土)

岩隈が最後にマリナーズと「再契約」したのはなぜか 「合意」を覆したドジャースと広島・黒田の「存在」

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   岩隈久志の2016年シーズンはマリナーズと「再契約」してスタートすることが決まった。

   この一件、いったんはドジャースと合意しながら白紙になった結果だったが、何があったのか。

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広島・前田の海外FAの動きと連動?

「1年、1000万ドル(12億円)」

   2015年12月15日、岩隈はマリナーズと契約を終えた。実は、11月にマリナーズから「1年、1580万ドル(19億円)」でオファーがあったのだが、それを拒否してFAとなった。ドジャース入りが消えたために再契約となったわけなのだが、このようなケースは珍しい。

   この12月、岩隈については、日本球界も絡んで慌ただしい動きがあった。

   4日=前田健太の大リーグ挑戦を広島が認め、海外FAとなった。

   6日=米国メディアが、岩隈がドジャースと「3年、450万ドル(54億円)」で合意と報道。健康診断を終えた後に正式契約する、と報道。

   8日=黒田博樹が広島残留を決め、後日6億円で更改。

   9日=広島が前田のポスティングシステムを申請。大リーグ機構が全球団に「獲得可能選手」として通知。

   14日=前田が渡米、ロサンゼルスに向かう。

   16日=ドジャースが岩隈に対し、契約内容の「見直し」を伝える。この直後、マリナーズが岩隈に再契約をオファー、交渉に入る。

   18日=岩隈とマリナーズが契約を交わす。

   この経緯を見ると、ドジャースとマリナーズ、岩隈と前田の動きが微妙に関係している、と思うのである。

公表されない「健康診断結果」

   仮説を立ててみた。

   ドジャースは岩隈の健康診断の結果を正式に公表していない。「契約見直し」となったとき、だれもが岩隈に異常があったと推測する。事実、岩隈は2015年シーズンの4月、背筋を痛めて2ヶ月ほど戦列を離れた。それが完治していないのか、と疑うのは自然だろう。

   ところがマリナーズは間髪を入れずに岩隈獲得に動いた。

「元気バリバリですよ」

岩隈はマリナーズと契約の後の記者会見でそう語った。となると、ドジャースの行動は腑に落ちない。ここで前田の存在が浮かんでくる。

   ドジャースは前田のFA決定で、岩隈から前田に乗り換えたのではないか、と考えられないか。前田と岩隈を比べた場合、年齢は前田27歳、岩隈35歳。前田は今季、最多勝で、大リーグでいえばサイ・ヤング賞にあたる「沢村賞」に選ばれている。岩隈は故障持ち。

   さらに広島の黒田の存在である。ドジャースは黒田の最初の大リーグ球団であり、同じ広島の前田について黒田からアドバイスを受けていたかもしれない。すなわち「前田が大リーグで通用するかどうか」を。日米で実績をもつ黒田ならだれよりも分かるだろう。

   何十億円もの大金が動く世界だけに、契約書にサインするまで確定しない。そんなドラマを見ているような動きだった。

   岩隈のマリナーズとの再契約には、いいオプションが付いている。17年は前年に投球回数162イニングをクリアすれば1400万ドル(17億円)、18年は前年に162イニング、あるいは16年と17年の2シーズンで計324イニングを投げていれば1500万ドル(19億円)となる。それに出来高も付く。岩隈は会見で会心の笑みを浮かべていた。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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