2024年 4月 19日 (金)

『京都ぎらい』の本音がネットで大ウケした! 「言ってはいけない」うっぷんがあふれる

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【意外とバズったJ-CAST記事(5)】「京都人のいやらしさは、つきあうとわかります」――記事にはこんな反応が相次いで寄せられた。

   J-CASTニュース「トレンド」で2016年4月2日に公開した

『京都ぎらい』なぜ受ける 『洛外』育ちが本音トークぶちまけた

は3週間ほどでFacebookのシェアが1000を超え、「コメント」も100を突破した。

   Googleで「京都ぎらい」を検索すると、一時はトップになっていたほど。ネットの新書紹介記事としては異例の反響を呼んだ。

  • 「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれた「京都ぎらい」
    「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれた「京都ぎらい」
  • 「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれた「京都ぎらい」

胸のつかえが下りる

「暮らしてみて思ったのは差別する人間が多いなと」
「京都のご年配の関西他県への見下しは異常」
「わかる。家の都合で他県から引っ越したら、『日本でも海外でも皆京都に憧れてどんどん人が勝手に引っ越してくるから、もともと住んでるこっちは迷惑!』と面と向かって言われた」

   コメント欄には次々と実体験に基づく「京都ぎらい」の投稿が並んだ。

   著者の井上章一さんは京都出身。関西ではよく知られた学者文化人だ。世間的には「京都人」と思われていた井上さんが、あろうことか「京都批判」をやってのけた。いわばオキテ破り、一種の内部告発だ。それだけに当事者しか知らないディープなエピソードがあふれ、内容は生々しい。J-CAST記事でもそのあたりをかいつまんで紹介した。胸のつかえが下りた人が少なくなかったようだ。昨(2015年)秋の発売だが、16年2月、書店員や出版社の編集者らが選ぶ「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に決まったことで一気に注目度が高まった。このところ売れ行きに拍車がかかり、20万部を突破したという。

   京都には中心部の「洛中」と周辺の「洛外」がある。本物の「京都人」を自負できるのは「洛中育ち」だけ。「洛外」出身の井上さんは「京都人」と認定されない。そんな洛外者の悲哀と悔しさ、小馬鹿にされてきた怒りを井上さんは本音トークでぶちまけた。

階層社会の残像が見え隠れ

   洛中には平安時代から天皇家や公家が住み、金閣、銀閣をつくった室町幕府もここにあった。歴史を誇る巨大宗教教団の本山や、茶道、生け花の家元など全国にネットワークを持つ文化組織の拠点も多い。遠い過去の上下関係や複雑な人脈のヒエラルキーがいまも日常生活に深く根を張るといわれる。だから京都には伝統が脈々と引き継がれ息づく一方で、ときに古き日本の階層社会の残像も見え隠れするようだ。

   井上さんは「洛中」VS「洛外」をキーワードにそんな京都の深層をあぶりだした。一見の観光客ではわからない千年の都のドロドロ・・・京都ではけっして「言ってはいけない」ことを公にしてしまったのか?コメント欄ではハンドルネーム「洛中の京都人」さんから独特の京都弁で「本物の京都人は差別などしない」と、こんな手厳しい反論も寄せられた。

「ほんまもんの京都人のことをよう知らんと、何をほろほろ言うたはりますのんえ。いけずでもあらへんし、差別を口にすることもあらしません。よう物事を分ってはるお人は、そんなしょうもないことにかかずらはらしません。ほんまもんの京都人にちゃんと逢うて話してみとくれやす。にせもんの京都人と知り合わはって誤解されて、ほんまに迷惑やと思てます」

「好き」よりも、「嫌い」が受ける

   コメント欄の議論は「京都嫌い」VS「反・京都嫌い」にとどまらなかった。

「自分が特定の人からいやな目にあったからと京都人全体をクズと一括りにして貶してる人達は、自分がやってることが自分が見下してる対象と同じことだとなぜ気づかないのだろう?」
「記事やみなさんのコメントを見て思ったことなのですが・・・たとえどこで生まれようが中身が無いと意味無いのでは? 出身地ごときにこだわるようじゃその人の人間性もたかが知れてる」

   ネットではしばしば「好き」よりも、「嫌い」にユーザーが集まる。「バッシング」や「叩き」、そして「炎上」というのがよくあるパターンだ。その意味では「嫌い」を前面に掲げた本書のタイトルは、いかにもネット好み。それにしても温厚な文化人と思われる井上さんが、なぜこんな過激なタイトルで書いたのか。そして洛中の京都人に「見下された」過去の原体験を晒したのか。

   ひょっとして井上さんは自らをハダカにして俎上にのせることで、ふだんは口にしにくい議論が起きることを期待していたのかも?いまごろはコメント欄の多様な意見を眺めながら「我が意を得たり」と、ほくそえんでいるにちがいない。

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