政治資金の「公私混同」疑惑で批判を呼んでいる舛添要一東京都知事が2016年6月13日、都議会総務委員会で行われた集中審議の終了間際に発言を求め、不信任案が提出されようとしていることに言及。8月のリオ五輪と都知事選の時期が重なってしまうことを理由に猶予を求めた。だが、リオ五輪を「盾」にしたような発言に、インターネット上では反発の声も上がっている。「どうか、少しの猶予を頂きたいと思っています」集中審議では質問者から辞職を求める声や百条委員会設置を要求する声が上がるものの、内容自体は堂々巡りに終わった。すると舛添氏は、終了前に委員長に発言を求めて起立。騒動の経緯を一通り述べ、集中審議中に話題にのぼった不信任決議案の提出について触れた。舛添氏は「極めて重く受け止めております」とした上で、「今日は一つ、都民の皆様、そして都議会の皆様にお願いしたいことがございます」と切り出し、こう述べた。「もし私に対する不信任案が可決された場合には、法律上は私が辞任するか、ないしは、議会を解散するかという選択を迫られます。そうしますと、いずれにしましても選挙ということになります。その選挙の時期が、どうしてもリオのオリンピック・バラリンピックの時に重なります。私は、都知事として断腸の思いでありますのは、次期開催都市でこういう選挙を、リオの時にやるということは、本当にこの国家的大事業である2020年大会にとって極めてマイナス。もちろんこれは、私の不徳の致すところが発端でありますことは重々承知をしております。そういう思いでどうか、少しの猶予を頂きたいと思っています」つまり8月に行われるリオ五輪の時期に今騒動を発端とした都知事選、あるいは都議選を行うことは、2020年の東京五輪に悪影響を及ぼす、という理由から「不信任案の提出は先送りしてくれ」ということだ。「私は全ての給料をご辞退申し上げて働く」舛添氏は「それは私が知事の座に連綿としてしがみつく、そういうことではございません」と、あくまで自身のためではないことを強調。それを示すためか、「私は全ての給料をご辞退申し上げて、全身全霊、都民のため、都政のために働きたいと思っております」と、給料全額カットを明言した。そして再び、選挙とリオ五輪が重なることについて「そういう混乱はどうしても公益にそぐわない」と熱弁し、「どうかそういう意味でこの時期を猶予していただいて、その上で私が都知事としてふさわしくないと、そういうご判断を都議会の皆さんがなさるときには、不信任案を私に頂ければと思います」と要望した。突然の踏み込んだ発言に議場は妙な雰囲気になった。しかし「猶予発言」について、ネット上では「貴方のせいでとっくの昔に混乱していると思うんですよ」「都知事としてリオに顔出したらそれこそ恥」「不信任知事をリオ五輪の映像の中に残すべきでない」といった厳しい声が多々寄せられている。最後の最後で舛添氏が繰り出した「けん制」は今後、どう影響するのか。
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