市販の弁当や加工食品、外食の多くは栄養分のミネラルが不足、慢性病の原因になっていると、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」(小若順一理事長)が警告している。早くから気づいていた同基金は2010年から市販食品などのミネラル量を実測、2017年2月号の機関誌『食品と暮らしの安全』で「ほとんどの栄養士、医師、専門家が知らない!心身を害するミネラル不足食品」とのタイトルでデータをまとめて特集した。「ミネラルを多く摂れば家族は健康になり、社員食堂や病院食の改善で、うつ病は減り、病気も治る」と小若さんは訴えている。メーカーや販売店の実名入りで公表店で購入した単品、または同メーカーの3食分、別メーカーの類似品の平均、などを埼玉県食品衛生協会検査センターに依頼し、全品についてカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅の5ミネラルを、一部はカリウム、ナトリウムも測定。下回ると半数に健康障害が起きる恐れもあるという「推定平均必要量」と比較した。メーカーや販売店の実名入りだ。たとえば、コンビニの幕の内弁当は大手3社平均でも、5種類のミネラルはいずれもその値を大きく下回った。代表的な高齢者向け宅配弁当は3食平均で、70歳超男性の必要量に全く足りなかった。有名な高級弁当でもカルシウム、マグネシウム、鉄が不足していたが、市販1社、手作り弁当は5ミネラルともほぼ十分だった。外食のランチは店によるが、弁当よりは数値がよかった。学校給食2校のミネラルは5種類とも十分だったが、厚生労働省の職員食堂は4~5種のミネラルが不足していた。お握りやパンなどはメーカーで差があるが、不足がほとんどだ。牛丼は大手3社平均で、カルシウム、マグネシウム、鉄が不足、安売りラーメン店のラーメンはカルシウム、マグネシウムの2種類が少なかったが、カップヌードルは5種類とも大きく不足していた。特集ではミネラルが減る原因を実験付きで解説している。冷凍食品は解凍時にミネラル分を含む汁が失われ、野菜も中国などで水煮し、汁を捨てて輸入している。そうした食材を使って味付けし、弁当や惣菜にしているのだから当然といえる。長期間、こうした「ミネラル不足」が続くと、健康への影響が深刻になる。同機関誌では、ミネラル補給の食事への転換することで、発達障害、自閉症、うつ病、冷え性、腰痛などが改善した例が多数ある、と報告している。栄養計算の目安として食品分析表が広く使われているが、食材に含まれるミネラル量は加工前の数値なので、加工後の現実とは合わなくなっているようだ。(医療ジャーナリスト・田辺功)
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