「ガッテン」不適切放送でわかった ネットだけじゃない、医療情報の信頼低下

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   メディアが伝える医療・健康情報の信頼性が揺らいでいる。

   2016年11月、DeNAが運営していた医療・健康情報キュレーションサイト「WELQ」が、信頼性に欠ける記事が多数あると非難され、DeNAは謝罪した。これでインターネットメディアによる情報発信に疑問が投げかけられたが、2017年2月、今度はNHKの情報番組「ガッテン!」が、糖尿病の治療に睡眠薬が有効と思われるかのような内容を放送。学会や厚生労働省から異議が出される事態となった。旧来メディアのテレビ、しかもNHKによる誤った放送だっただけに、衝撃は大きい。

  • ガッテン!は長文の謝罪と訂正情報をサイト上で掲載する事態に(「ガッテン!」番組ウェブサイトより)
    ガッテン!は長文の謝罪と訂正情報をサイト上で掲載する事態に(「ガッテン!」番組ウェブサイトより)

WELQ批判していたNHKも

   「WELQ」は2016年11月29日、全記事非公開のうえ無期限休止となった。専門知識を持たない不特定多数のライターが、「肩こりは霊のせい」などエビデンスのない情報を「医療ニュース」として執筆したうえ、他のウェブサイトの記事をコピーして一部書き換えただけの内容を独自記事としていたことが明らかになったためだ。

 

   以後、ネット上にある医療・健康情報への疑問が、NHK・民放を問わず、テレビ番組で盛んに取り上げられ、ツイッターでは「ネットの情報は信用できない」といった声が出るようになった。2016年12月1日以降は、リクルートが運営するキュレーションサイト「Gathery(ギャザリー)」で医療・健康情報を中心とする一部の記事が公開中止となり、サイバーエージェントが運営する「Spotlight(スポットライト)」でも同じ対応が見られた。

 

   2017年1月には、論文の解釈の間違いから、一部のインターネットニュースが「ウコンの効果を否定する論文が発表された」と報じ、後に専門家がこの報道の誤りを指摘するケースもあった。

 

   だが、ネットメディアを批判していたテレビでも、同じような事態が発生した。NHKの情報番組「ガッテン!」は2月22日の放送で、糖尿病の治療に睡眠薬が有効であるかのような表現をし、テロップでも「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」と表示した。

 

   放送後、ツイッターなどで専門家から疑問が相次ぎ、日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会が放送内容に対する異議申し立てを発表した。厚生労働省もNHKに口頭で注意する事態にまで発展し、NHKは番組ウェブサイトに「説明が不十分だったり行き過ぎた表現があったりした」「視聴者の皆様、医療現場の皆様、関係者の皆様に誤解を与え混乱を招いてしまった」と謝罪文を掲載した。

 

   さらに、3月1日の番組冒頭で、約3分間にわたって番組MCを務める小野文恵アナウンサーが「不適切でした」という言葉を何度も口にしながら謝罪した。そのうえで、

「糖尿病の治療をするために、直接睡眠薬を使うことは認められていません」

と、2月22日の放送内容を大幅に訂正した。

公的機関や医師自らの情報発信も

 

   どのような医療・健康情報が信頼できるのか、素人が見分けるのは難しい。とくに、医師の見解が分かれる医療問題があった場合、専門知識を持たない一般読者や視聴者は「どちらが正しいか」をすぐに判断することは難しい。

 

   WELQ問題以降、医師が監修しているメディアも少なくないが、必ずしも信頼性が保証されるとは言えない。がんの情報をまったく関係のない分野の医師が監修していても、信頼性に欠けることもある。

   一方で、ネットの中にも情報源として活用することはできる。業界の専門情報誌や公的研究機関、専門医などが発信する情報は比較的信頼できるといえる。 生活の質の向上につながる最先端の安全な医学・医療情報の提供と実践を掲げ、医師によるコラムや論文紹介、治療法解説、商品分析を多数掲載している「エイジングスタイル」は、医師が自ら情報発信をする場として、幅広い診療科目の専門家や医師をそろえている。

   また、先のガッテンが報じた糖尿病に関する情報であれば、医療情報を専門に扱う創新社の「糖尿病ネットワーク」は現役の糖尿病専門医の声が豊富だ。より広い健康情報なら国立健康・栄養研究所が運営する、海外論文翻訳情報のウェブサイト「リンク・デ・ダイエット」などが存在する。

   いずれにせよ、ネットや既存媒体に限らず、メディアが発する情報を100パーセントうのみにするのではなく、さまざまな情報を参照して信頼に足る情報はどれなのかを確かめる必要がある。

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