岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「北朝鮮へ武力行使」世論支持が半数超えた

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「北朝鮮はいったい何を考えているのか。日本人は恐怖におののいているだろう? トランプは、オバマみたいに北朝鮮を放置しておかないよ」

   アメリカ人の知人が私にそう話した2017年3月頃、日本のマスコミは安倍首相夫人と森友学園の報道に明け暮れ、まださほど北朝鮮との緊迫感は感じられなかった。

  • トランプ大統領は北朝鮮に強硬な態度を取り続けている(C)FOMOUS
    トランプ大統領は北朝鮮に強硬な態度を取り続けている(C)FOMOUS

2大政党支持者で大きな差

   大統領の評価が決まるといわれる就任後最初の100日間が、4月29日で終わった。ここにきて、アメリカでも毎日のようにメディアを賑わせているのが、北朝鮮問題だ。

   核開発やミサイル発射などの挑発行為を続ける北朝鮮を今、アメリカに住む一般の人たちはどう見ているのだろうか。最近、各メディアで世論調査が行われた。

1)北朝鮮に対する脅威

・「米国にとって当面の最大の脅威は何か」

   1位:北朝鮮38% 2位:ISIS(過激派組織「イスラム国」)25% 3位:ロシア18% 4位:中国(5%)、5位:イラン(4%)
(フォックスニュース、2017 年4月23日~25日)

   共和党支持者と無党派層では、ISIS(過激派組織「イスラム国」)が北朝鮮に次いで2番目だったが、民主党支持者ではロシアがISISを上回った。

・「北朝鮮が米国に直接の脅威を及ぼしている」37%
(CNNと世論調査機関ORCの共同、2017年4月22日~25日)

2)軍事力行使の必要性

・「北朝鮮の核開発阻止のために軍事力行使を支持する」53%
「外交だけで阻止できる」39%
(フォックスニュース、同上)

・「北朝鮮が攻撃してきた場合、韓国を防衛するために軍事力行使を支持する」67% (CNNとORCの共同、同上)

   北朝鮮への脅威について、さらに北朝鮮が攻撃してきた場合の軍事力行使について、党派間でほとんど差がなかった(CNNとORCの共同)が、核兵器阻止のための軍事力行使では、賛成が共和党支持者で73%と、民主党(36%)と大きく意見が分かれた(フォックスニュース)。

   先日、出会った中年のアメリカ人男性らは、米国が早急に軍事行動に出るべきだと主張した。

「トランプ嫌いだからと言って、彼がやることなすこと、批判すべきではない。今、北朝鮮が攻撃してくれば、被害を被るのは韓国や日本だが、そのうち、ワシントンDCやニューヨークなど米国の大都市に、北朝鮮の核弾頭付きミサイルが届くようになるだろう。それからでは手遅れ。今、阻止すべきだ」

   反トランプ派のなかにも、「今回の彼の判断と行動力は見事だった」とトランプ大統領を称賛する人はいる。

大統領の能力への不安も

   しかし、今すぐに軍事行動に出ることについては、慎重な意見が強い。

   CBSニュースの世論調査(2017年4月21日~24日実施)では、「北朝鮮の兵器開発は、米国にとって直ちに軍事力行使が必要な脅威である」と答えた人は、27%に過ぎなかった。また、北朝鮮の核開発の状況に対処するトランプ大統領の能力に不安を感じていると答えた人は、全体の62%、民主党支持者の間では91%と非常に高い。

   反トランプ派のアンさん(60代)は、同大統領は北朝鮮を挑発していると憤慨する。

「これまでにトランプは、ほとんど何も成し遂げていない。批判をかわし、税金問題などから国民の関心をそらせ、メディアを味方に付けるために、北朝鮮を利用しているだけ。紛争になったら、弾劾も免れやすい。トランプも金正恩(キムジョンウン)と同じくらい、理性のない人間。今、米朝で紛争が起き、韓国や日本に莫大な被害が出ても、トランプにとっては対岸の火事にすぎないのよ」

   世論調査後、北朝鮮は弾道ミサイルを発射。トランプ大統領は北朝鮮への強硬姿勢を一層強め、金氏を公然と非難。大きな紛争が起きる可能性も示唆している。互いに挑発し合い、緊張が高まるなか、29日には米原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島の海域に到着し、韓国軍との共同訓練も始まった。

   朝鮮半島の動きを、世界が固唾を呑んで見守っている。私は4月下旬から、日本に一時帰国中だが、たった今も、アメリカ人の友人からメールが届いた。

I've been thinking of you several times a day, worried about the political situation. 一日に何度も、あなたのことを考えています。政治情勢を懸念して。

(随時掲載)


++ 岡田光世プロフィール
岡田光世(おかだ みつよ) 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社 のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓 を描いている。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1 弾から累計35万部を超え、2016年12月にシリーズ第7弾となる「ニューヨークの魔法 の約束」を出版した。著書はほかに「アメリカの 家族」「ニューヨーク日本人教育 事情」(ともに岩波新書)などがある。


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