業績回復の仕方がシャープでしょ 新体制の成果と課題

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   シャープの業績が回復してきた。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で進めた構造改革の効果が如実に表れている。だが厳しい言い方をすれば、コストカットで収支を改善させただけに過ぎない。今後、売り上げと利益を同時に拡大させる好循環が生まれるかが問われることになる。

   シャープの2017年3月期の連結決算(4月28日発表)によると、売上高は前期比16.7%減の2兆506億円と3期連続の減少だったものの、営業損益は624億円の黒字(前期は1619億円の赤字)と3期ぶりに黒字転換。純損失は248億円と、前期に比べ10分の1以下に縮小した。東京都内で記者会見した野村勝明副社長は18年3月期について「最終黒字化は当然」と自信を見せた。

  • 業績は回復してきている(画像はイメージ)
    業績は回復してきている(画像はイメージ)

7セグメントすべてが黒字

   四半期ベースの損益をみると、回復の傾向はもっとはっきりする。直近の大底は2016年1~3月期で、1329億円の営業赤字、純損失は1476億円だった。

   鴻海との戦略提携に合意したのは2016年4月で、4~6月期は営業赤字が25億円と前年同期の10分の1以下に縮小し、7~9月期には黒字転換した。各種手続きを終え、8月に鴻海グループの戴正呉副総裁がシャープ社長に就任し、10~12月期は純損益も黒字に転換し、17年1~3月期は各利益を積み増した。

   セグメント別で見ると、「お荷物」といえる分野もなくなってきた。経営危機の原因を作ったディスプレイデバイス事業は、パソコン用中型パネルや中国での液晶テレビ販売が伸びたこともあり、2017年1~3月期は営業利益が71億円(前年同期は1246億円の赤字)に。空気清浄機や洗濯機が好調だった健康・環境システム事業も91億円の黒字(前年同期の2倍)となるなど、7セグメントすべてが黒字だった。

IoT事業でグローバル展開する青写真

   2016年8月の新生シャープ誕生以降、原材料や物流など従来の取引先、契約関係を一から洗い直し、「ムダ」を極小化。経営の意思決定を早めたり、業績への貢献度に応じて賞与に最大8倍の差をつける「信賞必罰」の待遇制度を導入したりして改革を進めた。鴻海との提携を前に、16年1~3月期に資産価値を見直して大幅な損失を計上。ウミを出し切っていたことも大きかった。

   ムダを削って利益を出してきたシャープだが、最大の課題は今後、右肩上がりの成長を描けるかどうかだ。液晶テレビ中心の家電メーカーから脱皮し、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT事業でグローバル展開する青写真を描いている。

   だがIoTは、日立製作所やパナソニックなどの日本の大手電機メーカーに加え、米アップル、グーグル、マイクロソフトなど世界のIT企業がこぞって力を入れている。ここ数年の経営危機で人材流出が進み、経営資源をこの分野に振り向けられなかったシャープが遅れを取り戻すのは容易ではない。真価が問われるのはこれからだ。

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