深刻、上場企業も「何もしていない」 改正個人情報保護法に未対応97.8%

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   改正個人情報保護法が2017年5月30日に全面施行されたが、東証一部上場企業のほとんどが改正法に対応していない実態が明らかになった。

   新しく施行された改正個人情報保護法は、5000人以下の個人情報を扱う事業者にも対象が拡大されたほか、個人情報の本人による開示請求が権利として定められるなど、旧法から大きな変更点がある。企業にとって、顧客からの開示請求への対応や企業間でのデータのやり取りにも一部届出が必要になるなど、対策は避けて通れない状況だ。

  • 「対応不十分」「対応していない」合計で97.8%に!(牧野総合法律事務所調べ)
    「対応不十分」「対応していない」合計で97.8%に!(牧野総合法律事務所調べ)

HPのプライバシーポリシーをチェックしたら...

   改正個人情報保護法の施行で、法律の「網」がかかる対象企業が拡大。いまや上場企業から町の中小・零細企業、場合によっては個人事業主にまで法対応が課せられたにもかかわらず、率先して対応すべき上場企業ですら、「何もしていない」実態が浮かび上がった。

   改正個人情報保護法の施行に伴う「プライバシーポリシー実態調査」を行った牧野総合法律事務所によると、東証一部上場企業から無作為に抽出した225社のうち、改正個人情報保護法に対応していると評価できる上場企業は2.2%にとどまり、97.8%が「対応不十分」という結果になった。

   同事務所が、2017年5月30日時点でホームページ上に公開している企業の個人情報保護指針(プライバシーポリシー)を対象に、対応状況を判断するチェック項目をもとに、10ポイント満点で採点した。

   その結果、東証一部上場企業225社の平均は3.1ポイント。「改正法に十分対応している」(10ポイント)企業は、わずか1社で全体の0.4%だった。「改正法に概ね対応している」(8~9ポイント)は4社で全体の1.8%。両方合わせても2.2%にとどまった。

   その一方で、「改正法への対応は不十分」(5~7ポイント)は45社で全体の20%、「改正法に対応していない」(4ポイント以下)は175社で77.8%となり、両方合わせると、じつに全体の97.8%にのぼる企業がほとんど対応していないことがわかった。

   業界別でみると、平均値が最も高かったのは「陸運」で平均6.1ポイント。平均値が最も低かったのは「鉱業」「紙・パルプ」、「海運」でともに平均1.0ポイントだった。

   改正個人情報保護法をめぐっては、「過剰反応」への懸念がメディアから指摘されているが、牧野総合法律事務所は「今回の調査では、むしろ、企業の『過小反応』『無反応』ともいうべき姿勢が際立っており、企業の改正法への対応は極めて遅れているといわざるを得ません」と分析している。

消費者から取り扱い厳格化求める声

   「プライバシー保護」への消費者側の意識も敏感になっている。調査会社のマクロミルが2017年5月に、1000人を対象に行った調査では、「プライバシーポリシー・個人情報保護方針」の有無を確認しているかとの問いに、「必ず確認する」が12%、「確認する方が多い」が45%となり、57%がプライバシーポリシーを意識している。

   また、昨今の個人情報保護の状況について、厳重にすべきか緩めるべきかとの問いには、「今よりも厳重にすべき」が53%にものぼり、過半数が個人情報の取り扱いの厳格化を求めている。

   今回の改正法によって、たとえば、消費者側は情報開示の再請求や情報の削除要求が可能になり、企業がこれに応じない場合は訴訟の提起、仮処分の申し立てができるようになる。牧野総合法律事務所は、「企業側は開示などへの対応をせざるを得なくなるのに、事前の手当すらしていない危険な状況にあるわけです」と、説明する。

   「インターネットが普及している現代において、各企業の『顔』ともいうべきホームページに掲載された個人情報保護指針(プライバシーポリシー)が法律に対応したものでなければ、株主や顧客から、企業のコンプライアンス(法令遵守)意識を問題視されても致し方ないといえる」と指摘している。

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