2024年 4月 25日 (木)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
それでも挙証責任は文科省にある 「加計」問題で同省OBと対論

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   加計学園問題は、マスコミの資質をチェックするリトマス紙だ。

   文科省内部文書にすぎないものを金科玉条のように扱うマスコミは二流だ。既に公表されている文科省、内閣府合意済みの公式の特区会議議事録から見れば文科省文書はでっち上げにも見える。詳しくは前回コラム「『総理の意向』の正体 加計学園めぐる文科省の『言い訳』(2017年6月8日配信)」を参照されたい。

  • 加計学園をめぐる問題はどうなるのだろうか
    加計学園をめぐる問題はどうなるのだろうか
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獣医師の需要見通しについての「挙証責任」

   6月16日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」は興味深い。文科省OBの寺脇研氏も出演するので、筆者と2人で議論して欲しいというものだった。寺脇氏は、前川・前文科事務次官の立場を忠実に反映しており、筆者と対論させれば、より真相が解明されるだろうというテレビ朝日の意図があったのだろう。

   番組では、筆者が加計学園問題の経緯を話し、「文科省文書」が書かれる以前に、文科省と内閣府の事務方の協議は終了していること、その後に文科省文書の中で「総理の意向」なる文言が出てきたが、それは文科省内のでっち上げの可能性があること、などを指摘した。

   その前提として、2015年6月の閣議決定の中、特に獣医師の需要見通しについての「挙証責任」は文科省にあることも指摘した。

   これに対して、寺脇氏は、筆者の言う通りに「文科省に挙証責任があれば、これまでの内閣府の行動は納得できる」とした上で、文科省の意見として「挙証責任は文科省の側にはない」といった。これは前川氏が記者会見で述べたことと同じである。

   ここまでは良かった。しかし、メインキャスターの橋本大二郎氏が、筆者やコメンテーターの末延吉正氏の発言を遮って、議論する時間を浪費した。

   時間があれば、寺脇氏を論破するのは簡単だ。許認可官庁に説明責任があるからだ。こうした交渉基礎知識は、既に2年前の特区会議議事録にも書かれており、議論としては終了済みであり、文科省も認めざるを得ないものとなっている。

番組スタッフらの打ち合わせに「びっくり」

   余談であるが、筆者は本番前に番組スタッフらの打ち合わせを偶然にも小耳に挟んでしてしまった。「高橋さんはこう言います」というフレーズが何度も繰り返し聞こえたのでびっくりしたものだ。

   なお、同番組に出演していたコメンテーターのデーブ・スペクター氏から、CM中に「なぜ、加計と同じく獣医学部の申請をして却下された京産大(京都産業大)は、国を訴えないのか」と筆者に聞いて来た。

   これに対して、「もともと獣医系団体からの政治力学が働いたため、1校しか新設できなくなってしまった。今回は加計の方が申請が先だったので加計になったが、次は京産大にも認可がおりるだろうから、今は波風を立てないほうがいいと判断したのではないか」と答えたら、納得して、その質問は番組中にはしてこなかった。CM中には重要なことは話さない方がいい。

   さて、テレビ業界とは面白い。テレビ朝日の出演後、フジテレビ「ユアタイム」からも出演依頼がきた。どうも、テレビ朝日の番組では筆者の発言が遮られているように映ったため、その点について話を聞いてみたいとなったようだ。

   その様子は、FNNサイトの記事「『加計問題』 高橋洋一氏に聞きました」(6月17日)で確認できる。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「『日経新聞』には絶対に載らない 日本の大正解」(ビジネス社)など。


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