2024年 4月 20日 (土)

小池知事は「国民ファースト」を名乗れるか 既に同名称の政治団体

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   都議選での圧勝を受け、小池百合子・都知事の勢力の国政進出に関心が集まっている。都議選まで代表を務めていた地域政党「都民ファーストの会」を全国政党「国民ファーストの会」に発展させるのではないか、というわけだ。小池知事自身の口からも「国民ファースト」の言葉が出て、様々な憶測を呼んでいる。

   一方で、先の都議選では既に「国民ファーストの会公認」で立候補した候補もいた(結果は落選)。もし、小池知事が「国民ファーストの会」に発展させようとした場合、同じ名称で登録はできるのか。

  • 都議選で会見を行う小池知事(2017年7月2日撮影)
    都議選で会見を行う小池知事(2017年7月2日撮影)
  • 2017年7月都議選の千代田区選挙公報の後藤氏
    2017年7月都議選の千代田区選挙公報の後藤氏
  • 都議選で会見を行う小池知事(2017年7月2日撮影)
  • 2017年7月都議選の千代田区選挙公報の後藤氏

小池知事「都民ファーストならぬ国民ファーストを...」

   小池知事は、2017年7月2日投開票の都議選で、自身が当時代表を務めていた「都民ファーストの会」を中心に、その支持勢力が過半数を大きく上回り圧勝した。

   翌3日、将来的な国政進出の可能性について記者団に聞かれた小池知事は「今はそういう状況ではない」と否定。しかし、続けて「都民ファーストならぬ国民ファーストをベースに考える方」が増えれば、「国民にとってもいいことではないか」と述べた。こうしたやりとりを受け、たとえば日経新聞は4日付朝刊で、小池知事関連の記事の中で「次は『国民ファースト』?」と小見出しをつけ、小池知事の国政進出へ警戒感を示す自民党関係者の声を伝えた。

   これに対し、「国民ファーストの会公認」を掲げ、東京都選管の選挙公報でもそう記載された都議選候補がいる。千代田区(定数1人)に立候補した後藤輝樹氏(34才)だ。後藤氏は、16年夏の都知事選へも立候補。軍服姿のポスターや、政見放送での放送禁止用語連発(音声カット)などの独自の活動でネットを中心に話題となった。今回の都議選では、4人の立候補者のうち、最下位ながらも602票を獲得した。

政党と「その他政治団体」の差

   後藤氏によると、従来の「後藤輝樹後援会」(その他政治団体)から「国民ファーストの会」(その他政治団体)へ5月3日に名称を変更した、と5月8日に「異動届」を出した(総務省によると、官報告示はまだだが、「異動届」は提出されている)。

   それでは、後藤氏を代表とする「国民ファーストの会」が存在する中、将来的に小池知事勢力が「国民ファーストの会」を登録することはできるのだろうか。総務省などの解説を総合すると、少なくとも現段階では、登録はできそうだ。

   政治資金規正法上は、政治団体は大雑把に(1)政党、(2)政治資金団体、(3)その他の政治団体の3種類に分類できる。政党は、「所属国会議員が5人以上」など2条件のうち、少なくとも1条件を満たす必要がある。政治資金団体は、「政党が指定した団体」だ。

この3種類のうち、「同じ名称や類似の名称」をつけてはいけない、と保護されているのは、政党と政治資金団体だけだ。時系列的に先に「その他の政治団体」としての「国民ファーストの会」が存在しても、その名称は保護されず、後になって別の「国民ファーストの会」を登録することは可能だ。

   逆に、政党(か政治資金団体)としての「国民ファーストの会」が登録された後は、政党でも政治資金団体でも「その他政治団体」でも、新たに「国民ファーストの会」を登録することはできない。

   一方で、政党・政治資金団体の名称保護は、さかのぼっては適用されない(該当の政党が登録する前に存在した、同じ名前の「その他政治団体」の名称に変更義務は生じない)。

このため、先に登録された後藤氏の「国民ファーストの会」(その他政治団体)と、(仮定の話だが、)後で登録された小池知事の「国民ファーストの会」(政党など)が、共存することは可能だ。

選挙の時には?

   それでは、選挙の時にはどうなるのか。

   公職選挙法では、衆参議員選挙のいわゆる「比例」選出議員選挙の際は、「衆院もしくは参院の議員を5人以上有すること」などの条件のいずれにも該当しない政党やその他の政治団体が、(1個以上の)条件に該当する政党などと「同一又は類似の名称、略称」を使うことは禁止されている。

   一方、たとえば衆院小選挙区などの選挙の場合は、政党の名称保護の規定はないため、同じ選挙区に、たとえば「国民ファーストの会」(政党、小池代表)の公認候補Aさんと、「国民ファーストの会」(その他政治団体、後藤代表)の公認候補Bさんが立候補する事態はありえることになる。

   ただ、先の都議選では、「国民ファーストの会公認」の後藤氏は、朝日新聞などの報道では「諸派」扱いで報道されていた。

「国政を視野に入れているなら、最初から正直に言って欲しい」

   後藤氏に7月5日、メールを通じて「国民ファーストの会」への名称変更の狙いを質問したところ、約1900字の回答が戻ってきた。要点を抜粋すると、まず、名称に関しては、

「私は『ファースト』ブームに便乗しようという魂胆は全くありません。(略)率直に言えば、小池新党が作るであろう『国民ファーストの会』にケチをつけるためです」
「(もっとも、)ケチをつけるためだけに、この名称を使用した訳ではなく、もともと私は、最初の選挙に立候補した時点から日本を世界一の国にするというスローガンを掲げ、自国第一を貫いてきました。なので、(略)私が名乗っても齟齬は無いとも、判断しました」
「(『国民ファーストの会』の名称を使用したのは)小池知事に都政に集中してほしいという私の優しさ、強めに言えば、警鐘でもあります」

などと説明。仮に小池知事側が「国民ファーストの会」を別に立ち上げたとしても、

「僕は屈せずに、僕の『国民ファーストの会』は使い続けようと思います」

という。また、小池知事については、

「どう考えても、国政を視野に行動しているのが見え見えです」
「私は小池知事を全否定するつもりはありません。是々非々です。小池知事が国政を視野に入れている事も否定はしません。ただ、小池知事のお為めごかしのようなやり方が気にくわない、というのはあります。国政を視野に入れているなら、最初から正直に言って欲しいと僕は思いました」

と分析した。

   果たして、小池知事が将来、「国民ファーストの会」を率いて国政に進出することになるのか。小池知事の任期満了日は、オリンピック・イヤーである2020年の7月30日だ。

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