頸髄完全損傷で首から下が動かない レスラー高山善廣、過去も壮絶な闘病

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   長年、日本のマット界で活躍してきたプロレスラー、高山善廣選手(50)が、2017年5月4日に行われた試合中のけがから4か月たった現在も「首から下が動かない状況」と公式ブログで公表された。

   診断によると、「頸髄完全損傷および変形性頚椎症」。これまで、喘息(ぜんそく)や脳梗塞を克服してきた高山選手が、またも苦境に立たされた。

  • 高山選手の公式ブログより
    高山選手の公式ブログより

自力呼吸、会話はできるようになったが

   人間の手足の動きは、脳から神経を通って命令が送られる。一方、体で触れたり感じたりしたことは神経を通り脳に伝えられる。この神経が脊髄で、背骨(脊椎)に守られている。脊髄のうち首の部分に当たるのが頸髄で、これを保護するのが背骨の一部「頸椎」だ。なお頸椎は、7個の骨から成る。

   国立病院機構村山医療センターのウェブサイトによると、重度の損傷だと麻痺が残る可能性が高くなる。ただ「損傷後に麻痺が残存するか否か、その重症度は人によって、外傷の程度によって大きく異なります」。レスラーでは、本間朋晃選手(40)が2017年3月3日の試合で負傷、頸髄損傷と診断された。手術を受けて成功し、3か月ほどで退院したという。6月15日には新日本プロレスがツイッターで、本間選手が同社事務所を訪問した写真を掲載した。その後、道場にも顔を出して仲間のレスラーに祝福されている。現在はリハビリを行っているようだ。

   ただ高山選手の場合、「完全損傷」なので状況はより厳しい。最近主に試合をしていたプロレス団体「DDT」は、9月4日付で高山選手の容体に関する記者会見発表内容を公式サイトに掲載した。マネジャーは、5月8日に手術をしたが経過が思わしくなく、「人工呼吸器をつけて呼吸をする状態」だったと報告。現在は自力呼吸や会話はできるが、「お医者様からは頸髄完全損傷、回復の見込みは現状ないと言われております」「毎日、病室の天井を見つめていることしかできない日々に、本人も絶望を口にしている状態でした」「首に呼吸をする穴を開ける手術もしたので、食べ物を今、鼻から入れている......口からも入れられるんですけど、柔らかいもの、ゼリー状のものを食べている」と、衝撃的な話をしていた。

脳梗塞から過去に例を見ない復帰を果たした

   身長196センチ、体重125キロの恵まれた体格で「プロレス界の帝王」とまで呼ばれた高山選手だが、激しいファイトの裏側では、病気との闘いの連続でもあった。

   子どものころから喘息を患い、苦労した。その様子をスポーツジャーナリスト、二宮清純氏との対談で明かしている。ウェブサイト「スポーツコミュニケーションズ」2015年3月18日付記事で、「物心ついた時には症状が出ていました。発作が出ると仰向けには寝られない。ずっと横になって一晩中、母に背中をさすってもらっていましたね」「カプセルに入った薬を吸入器に入れて、粉にして吸っていました。発作が出た時は必ずしていましたね。それを吸うと、とりあえずは症状が治まる。ひどい時には毎日、薬を使っていました」

   プロレスラーとしてデビューした後も発作に悩まされることがあり、薬でコントロールしながら試合をこなしていたそうだ。

   2004年8月には、脳梗塞に見舞われた。当時の様子を、2017年9月4日付のサンケイスポーツ(電子版)が振り返っている。試合後に控室で取材を受けていた時、言葉が出てこなくなり、右半身がしびれて立っていられず、すぐ救急搬送された。発見と処置が早かったのが幸いしたが、最初ははしで豆など小さいものがつかめず、リハビリは自宅近くを歩くことから始めた。それでも2年後に「過去に例を見ない」復帰を果たした。

   リングで暴れまわっていたレスラーが全く体を動かせないのだ。精神的に「ギブアップ」しそうになっても不思議ではない。だが「DDT」が9月4日付で発表した高山選手本人のコメントには、「リハビリ頑張りますので今後ともよろしくお願いします」とあった。脳梗塞を克服した男が、けた外れの復活劇に向けて動き出している。

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