2018年 10月 19日 (金)

がんが治る時代もうすぐかも 実用間近「ゲノム編集」の最新技術

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   【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2017年10月12日放送

   がんの治療で、「ゲノム編集」の技術が注目されている。各細胞にあるDNAの一部が遺伝子だが、それ以外も含むすべての遺伝情報をゲノムと呼ぶ。

   米国では2017年8月、米食品医薬品局(FDA)が初めてがんの遺伝子治療を認可した。日本のゲノム編集の現場と最先端技術を、番組では紹介した。

  • DNAのイメージ
    DNAのイメージ

エラーDNAだけを切り取り正常なものに置き換え

   DNAは生まれつきに、あるいは細胞分裂や紫外線によって「エラー」が起きる。それが積み重なって病気や老化を招くとされる。エラー部分を正常なものと置き換えることで病気を治すというのが、ゲノム編集だ。従来の遺伝子組み換え技術と比べて、ねらったDNAをピンポイントで編集できる精度の高さが違う。

   東京大大学院理学系研究科の濡木理教授が説明したのは「クリスパー・キャス9」という画期的な技術。これは、「クリスパー」というDNA配列を利用してエラーのDNAを見つけ出し、「キャス9」と呼ばれるたんぱく質がこれを切り取り、その部分の周辺にある正常なDNAを入り込ませて編集を完了させるものだ。これまでの遺伝子組み換え技術では、こうした特定のDNAだけに絞っての編集が不可能だった。

濡木教授「正しい遺伝子に書き換えることができると、がんが治るということが実証されています」

   しかも血液がんだけでなく、固形がんも治せるという。

   現在は体外でのゲノム編集だが、クリスパー・キャス9の技術改良は進んでおり、注射により体内でゲノム編集できるようになる将来も遠くなさそうだ。

   自治医科大医学部の大森司教授は、血友病のマウスを使った体内でのゲノム編集の実験を番組で公開した。血友病は、血が固まらない遺伝性の病気。実験は麻酔で眠らせたマウスに注射を1本打っただけで終了した。肝臓内で起きている遺伝子のエラーを、ゲノム編集で治すのだ。クリスパー・キャス9をさらに小さくした「ミニキャス9」を、ねらった細胞に届く特別なウイルスに入れて注射。すると、治療を行ったすべてのマウスで、出血傾向が改善された。

動物実験では「最終段階」

   今日では、臓器がマウスに比べてヒトに近いブタを使った実験が進んでいる。生まれつき、ある遺伝子が存在しないため免疫に問題があるブタを、ゲノム編集で治してしまう。具体的には、骨髄細胞を取り出して「悪い遺伝子」を編集により正常なものにし、体に戻す。骨髄移植と同じ要領だ。

   がんの場合、少しでもがん細胞が残っているとまた増殖してしまうので、もう少し研究を深めなければならない。ただし動物実験におけるゲノム編集は、ヒトに応用する前の「最終段階」と言ってよさそうだ。「ミニキャス9」については半年で、さらに固形がん治療への応用は5年以内に、それぞれ実用化が期待されている。

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