2018年 10月 15日 (月)

家庭内をめちゃくちゃにする「ギャンブル依存症」
 治療のカギは「家族への介入」

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   【ハートネットTV】(Eテレ)2017年10月31日放送
「ギャンブル依存症―孤立する当事者と家族―」

   「ギャンブル依存症」は、衝動を抑えられずギャンブルを続けてしまう、WHOが認める精神疾患だ。国内には320万人いると推定されていて、割合は海外と比べ突出して高いが、今の日本では具体的な対策の見通しはない。

   16年12月には、カジノを含む統合型リゾート施設の整備を推進する「IR推進法(通称カジノ法)」が成立した。依存症患者に十分な対応ができていない現状で、公営カジノが認められようとしている動きに不安はぬぐえない。番組では、当事者とその家族を追い、現状をみつめた。

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親に金を無心、包丁を持ち出すことも

   関東で暮らす小川明さん(仮名、30代)は、月に1回、長崎県の精神科病院を訪ねている。弟の穣さん(仮名、30代)がギャンブル依存症で、17年8月にここに入院したのだ。

   結婚生活が上手く行かず、現実逃避のため、25歳の頃からパチンコを始めた穣さん。どんどんハマり、コントロールできないほどになってしまった。

   人付き合いが苦手な穣さんは定職に就けず、両親にパチンコ代を要求するようになった。

   明さん「だんだん額がでかくなっていって、最初1000円、2000円だったのが、そのうち毎日2万円になって、親も年金暮らしなので耐えられない。そしたら『親戚から借りてこい』とか大声上げてみたり、包丁を持ち出して暴れたりが始まったので、本当に弟が何かして警察に捕まって刑務所に入るか、親が自殺するかどっちかしかないかなって。もう手に負えなくなっちゃってて、そう思ってました」

   警察に相談すると、精神科病院への入院を勧められた。穣さん自身もギャンブルへの衝動を抑えたいと入院に前向きだったが、病院が受け入れを拒否した。

   精神科病院の職員「ギャンブル依存症については病気ととらえない精神科医もまだまだ多く、効果的な治療法も確立していない。少なくともうちの病院でできる精神医療はまだないし、プログラムを行っている病院もあるようだが、効果があるのかうちでは判断できないので、他の病院を紹介もできないし、うちでは診られませんという回答しかできなかった」

   また警察に行ったら精神保健福祉センターを紹介されたが、「こういう問題は家族で対応するしかない。頑張ってください」と言われるだけだった。

   精神保健福祉センター所長「ギャンブルの依存については、国でもどういう対応をするかの動きがあるとは聞いていない。今の法律などの体制では何ともしようがないのが正直なところ」

   受け入れ先が見つからない中、暴力は日に日に激しくなり、両親は車で寝泊まりするように。明さんがネットで見つけ連絡した民間の支援団体が長崎の精神科病院を紹介してくれ、ようやくギャンブル依存症と診断された。ここにたどり着くまでに10年以上かかった。

   穣さん「自分自身依存症だと思ってなかった。自分でコントロールできなくてギャンブルに狂っていたのに、依存症だって自覚できない自分がいた。今は感謝しています」

本人が「依存症」だと受け入れられず深刻化

   ギャンブル依存症は「否認の病」といわれている。本人が精神的な病気と認識せず、自分でお金を工面しようと考え、問題がどんどん深刻化する。家族は家族で、治療や支援を受けるとは考え付かず、自分たちが何とか解決しないととお金を用意するなどして、本人や家族が打つ手がない所まで行き詰まり、病状を悪化させてしまうケースが多いと考えられる。

   当事者と家族を支援する民間団体代表の田中紀子さんのもとには、毎月100件以上の相談が舞い込む。

   田中さん自身も夫とともにギャンブル依存症を発症、回復した過去があり、支援のためには家族関係に介入するのも重要と考えている。

   野球部の先輩に誘われたのをきっかけに野球賭博にハマってしまった啓太さん(仮名・20代)の母から相談を受けた田中さんは、ギャンブル依存症から抜け出したい人たちが共同生活を送り、一緒に回復を目指す施設を本人に勧めた。入所を条件に、債務先などへの連絡は田中さんが行うと約束した。

   啓太さんは家族と相談した上、入所する日を連絡すると言った。しかし2週間後、啓太さんの母から、自分で病気を治すと主張して施設に行くのを拒否し、再び野球賭博に手を出して闇金に追いかけられていると相談が。母は啓太さんの代わりにお金を払ってしまったという。

   再び啓太さんのもとを訪ねた田中さんは、これ以上悪化する前に施設で支援を受けるよう説得を試みた。啓太さんは激しく抵抗したが、田中さんの「そうやってギャンブルで逃げた経験が私もあるからさ」との言葉や、祖父母からの「もう無理だよ」「頼む、行ってくれ」との懇願を受け、渋々施設に行くと決めた。

   今は仲間と回復プログラムを受けていて、母も家族会に入り、息子との関わり方を見つめ直している。

   田中さん「依存症者には二つの感情がある。『やめたくない、やめるのが怖い』という気持ちも強いが、心のどこかでは『もうやめなきゃいけない、やめたい』という気持ちがある。必ず本人のためになると信じて、やめたい気持ちが上回るようにグッと引っ張り上げるイメージで活動している」

   米国では、専門のトレーニングを受けた人が、介入者(インタベンショニスト)として本人と家族に支援を行っている。

   田中さん「日本も介入できる人を増やしてほしい。家の中が竜巻のようにしっちゃかめっちゃかになっているのに終止符を打ってあげたい」

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