厚生労働省は医療・介護機関が連携する地域包括ケア制度を推進しているが、現状やあり方をめぐる新春座談会が2018年1月10日、東京で開かれた。一般社団法人医療介護福祉政策研究フォーラム(中村秀一理事長)の主催。司会の田中滋・慶応大学名誉教授(医療経済学)はじめ厚労省、日本医師会、病院、大学病院らの代表7人が意見を述べ、よりよい制度になるよう提言もした。医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでない厚労省は病院を高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分け、高度・急性期を減らし、回復期を増やそうとしている。猪口雄二・全日本病院協会会長は「病院は現実には様々な患者が入院しており、回復期の極端な不足論は疑問」「都道府県(医療)と市町村(介護)の連携が不十分だ」と指摘した。後藤隆久・横浜市大市民総合医療センター病院長は「大学職員の目的は急性期の研究業績で他との連携が乏しく、学生や医師に地域包括ケアを教えることも難しい」と、率直に懸念を述べた。医師で弁護士の古川俊治・参議院議員は近年の医療の動向を鋭く批判した。「医療は病院でなく医師で成り立つ。知事が公的病院に指示しても、医師は教授や先輩でない知事に従わない」「医局の力を弱めた臨床研修制度の廃止も検討すべきだ」「技術を高める専門医制度で地域医療充足はできない」などなど。座談会では、往診義務や研鑽が伴う医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでないことでは一致した。「労基署の介入で救急や産科が崩壊する」(猪口さん)、「外科は手術したがり麻酔医が過労、と診療科でも違う」(後藤さん)、「フランスでは一般には週35時間で医師は39時間労働」(松田晋哉・産業医大公衆衛生教授)。地域ケアを担当する職員は「地域差が大きく、市町村と医師会の連携必要」(伊原和人・厚労働省審議官、今村聡・日本医師会副会長)。だが、「医師会・行政・大学合同の勉強会が多い福岡は模範例」(松田さん)。「病院は食堂も開放、周辺にいろんな施設ができて町づくり、生活の中心になるのが望ましい」(古川さん、田中さん)といった未来像も示された。(医療ジャーナリスト・田辺功)
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