2024年 4月 18日 (木)

「スタンプ送るだけで日給3万円」 謎すぎる「LINE副業」にご注意を

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   「スタンプを送るだけで平均日給3万円」「LINEで友達追加をするだけでお金がドンドン増えていく」――こうした「LINEを使うだけで簡単に稼げる」とうたう、正体不明の勧誘がネット上で蔓延している。

   そんなうまい話、本当に存在するの? 運営側も警戒を強めるこうした謎の「LINE副業」、申し込むと何が起こるのか。J-CASTニュース記者が実際に応募し、その正体を探った。

  • 「スタンプビジネス」トップページ。スタンプを送るだけで稼げる、などとするが…
    「スタンプビジネス」トップページ。スタンプを送るだけで稼げる、などとするが…
  • サイトに掲載されているイメージ画像。「簡単に稼げる」と強調する
    サイトに掲載されているイメージ画像。「簡単に稼げる」と強調する
  • バナー広告はさまざまなサイトに掲載されていた。画像はあるまとめサイトに配信されていたもの
    バナー広告はさまざまなサイトに掲載されていた。画像はあるまとめサイトに配信されていたもの
  • 「LINEビジネス」。QRコードなどを通じて友達登録を呼びかける
    「LINEビジネス」。QRコードなどを通じて友達登録を呼びかける
  • 「スタンプビジネス」トップページ。スタンプを送るだけで稼げる、などとするが…
  • サイトに掲載されているイメージ画像。「簡単に稼げる」と強調する
  • バナー広告はさまざまなサイトに掲載されていた。画像はあるまとめサイトに配信されていたもの
  • 「LINEビジネス」。QRコードなどを通じて友達登録を呼びかける

まとめサイトやアプリなどに広告出稿

「こんなビジネスがあるって知っていましたか?」
「1日たったの5分でOK! いつも使っているスタンプを送るだけ」
「平均日給3万円の安定収入」
「スマホ、パソコンがあれば、だれでも簡単にリッチ生活をスタート!」

   まとめサイトやアプリに掲載されたバナー広告をクリックすると、表示されるのは「スタンプビジネス」を名乗るサイトだ。ポップなデザインのページには、「誰でもできる」「簡単」「リッチ」といったフレーズがこれでもかと並ぶ。

   その内容を信じるなら、「ビジネス」の内容はとても単純だ。ユーザーは普段使っているLINEのスタンプを、「いつもともだちと会話しているように」運営側に送信するだけ。すると、すぐに現金が振り込まれるという。上にもある通り、その「平均日給」は3万円にも達するとしている。

   なぜ、スタンプを送るだけでお金がもらえるのか? あなたも当然、そう思ったことだろう。スタンプビジネスはその理由を、以下のように説明する。

「LINEスタンプを作成して生計を立てているクリエイターの方に参考として情報を提供しております。
『普段、LINEユーザーの方がどのようなタイミングでどのようなスタンプを利用しているのか』
その情報を提供することにより、クリエイターの方からインセンティブが発生します。ですので、いつも通りLINEを利用するだけで自然と収入を得ることができてしまうんです」

申し込むと「約5日間の順番待ち」に

   しかし、そんなビジネスモデルが本当に可能なのだろうか。実態を探るため、J-CASTニュース記者は申し込みを行った。すると「スタンプビジネス事務局」から、

「現在、おかげさまで多数の応募者様にお申し込みをいただいており、応募者様には【約5日間の順番待ち】をいただいております」

とのメールが。その後、返事を待っていると、

「スマホを見るだけで毎月200万円の副収入」
「1タップで4万8000円ゲット」
「スマホで週給50万円稼ぐ」

といった別の「副業」の案内が、連日のように届く。結局5日後、肝心の「スタンプビジネス」は、「残念ながら落選となりました」。しかし、その後もスタンプビジネスとは関係ない勧誘が、記者のアドレスには届き続けている。

   「スタンプビジネス」だけではない。「LINEビジネス」を名乗る別のサイトは、スタンプではなく「友達追加をするだけで」「多くの方が月収200万円を達成した」とアピールする。こちらは、メールの代わりにLINEを通じて応募するシステムだ。

   やはり記者が申し込むと、「7日後の抽選発表」を待てという、どこかで聞いたようなメッセージが。もちろん、その間には「仮想通貨」から「在宅ワーク」まで、さまざまなオファーが届き続ける。少し違うのは、7日後、「見事、ご当選おめでとうございます」との知らせがあったことだ。ただ、「当選」案内が来たのはLINEビジネスではなく、まったく別の勧誘だったが......。

SNS関連の内職トラブル、相談件数は年1000件以上

   国民生活センターによれば、上記の例に限らず、なんらかの形でSNSを絡ませた「内職」についての相談件数は、2009年度の39件から、16年度には1028件と急増している。特にここ数年の伸びは「倍々ゲーム」だ。

   具体的な事例としては、

「『写真を撮り、SNSにアップするだけで収入が増える』というインターネット広告を見て申し込んだところ、まず2万円分の情報商材の購入を求められた。決済したところ、追加コース(15万円など)も勧められた。忙しかったため申し込まなかったが、向こうからはその後、追加の説明などは来ないままだ」(九州北部・40代男性)
「副業についてネットで検索したところ、SNSに写真を投稿するビジネスを見つけた。『多くの企業と取り引きがある』などという動画での説明を見て信用し、参加費約20万円を支払った。さらに参加者3000人中1000人しか入れない『特別プラン』に約50万円を振り込んでしまったが、報酬は一切出ず。業者に連絡してもなかなかつながらず、つながっても返金に応じてもらえない」(南関東・40代女性)
「SNSで友達申請をしてきた人と会ったところ、ネットワークビジネスやフリマサイトでもうける方法を教えるといわれ、35万円のコンサルタント契約を結んでしまった。しかし教えられるのは、規約で禁止されている無在庫転売など。やめたいがどうすればいいか」(南関東・50代男性)

   「稼げる」はずなのに、その前提として情報商材や高額塾、コンサル契約などの出費を強いられ、しかも期待したような収入は得られない、というケースが少なくないことがわかる。また、勧誘では副業や内職をうたっていても、実際にはマルチ商法などに誘導される場合も少なくなく、「被害」はまだまだ多い可能性もある。

LINE「見つけ次第、厳しく対応」

   「スタンプビジネス」には、運営責任者の氏名と、東京都千代田区内の住所が掲載されている。この2つから検索すると、同姓同名の人物が代表を務め、同じ所在地にあるという、ある企業のウェブサイトにたどりつく。「LINEビジネス」で「当選」案内が来たサイトにも、この企業が「事業者」として掲載されていた。

   東京商工リサーチの企業情報によれば、業種は「経営コンサルティング」、2017年7月に創業したとある。記者は住所を訪ねてみたが、いわゆるレンタルオフィス・バーチャルオフィス業者であった。

   J-CASTニュースでは上記の企業に、スタンプビジネス・LINEビジネスとの関係性や具体的なビジネスモデル、そして「スタンプを送るだけで平均日給3万円」などといった事業は本当に実在するのか、1月15日にサイトから問い合わせたが、3日後、多忙を理由に取材を断る旨返信があった。また、スタンプビジネス・LINEビジネスの「運営事務局」にもほぼ同内容のメールを15日送ったが、18日までに回答は得られなかった。

   一方LINEは16日、J-CASTニュースの取材に対し、こうしたサイトの存在をすでに認識しているとした上で、

「商標や知的財産に関する違反に関しまして、大変遺憾に思います。弊社内の法務や知的財産管轄の担当から警察等へ連携し、随時対応をさせていただいております」

と明かした。

   ユーザーへの影響が大きいと判断した場合には、「公式ソーシャルサイトなどで注意喚起を行う」といった措置を取っているといい、「今後も見つけ次第、厳しく対応してまいります」としている。

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