「第3のビール」シェア争いが激烈 「0.5%」差の中に3社、その勝者は...
クラフトビールへの期待と「限界」
アサヒは「クリアアサヒ」ブランドが好調で1.0%増の3585万ケースを売った。対するキリンは「のどごし」が4.9%減の4110万ケースと苦戦。サントリーは主力の「金麦」が前年を割ったものの、新商品「頂」がヒットした。
とはいえ、市場全体が縮む中で、いかに巻き返すかは業界全体の課題。そこで、各社が期待するのがユニーク製品だ。酒税法の改正で、ビールの定義が見直される4月に向け、各社、新製品の開発に余念がない。
今回の改正で、ビールの定義は、麦芽比率が「67%以上」から「50%以上」に『緩和』。麦芽、ホップという主原料のほかに使える副原料も、麦、コメ、トウモロコシなどに限られていたのが、果実、香辛料、ハーブ、野菜などもOKになる。これらを使うと、従来は発泡酒に分類され、ビールにこだわる層、高級志向の層にはアピールしなかったといい、今回の改正でビールの多様化、高付加価値化・高級化を狙えるというのが業界の期待だ。
アサヒは、ハーブの一種のレモングラスを使った「グランマイルド」を発売する。アルコール度数は7%と高めながら、レモングラスの効果でのみやすくした商品だ。
大手ではないが、クラフトビールでは大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)は、鰹節を原料に使う「ソーリー ウマミ IPA」を4月に発売予定。キリンもクラフトビールの新製品を準備中だ。
ただ、こうした取り組みも、ビール市場全体の落ち込みをカバーするには限界がありそうだ。企業経営としては、各社、海外展開の強化などで、それなりの好業績だが、国内ビール市場を再活性化する方策は、簡単には見つかりそうにない。