2018年 9月 23日 (日)

新社長は「異例の経歴」 日本生命が描く成長戦略

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   日本生命保険は、清水博・専務執行役員(56)が社長に昇格し、筒井義信社長(63)が会長に就くトップ人事を2018年4月1日付で実施する。清水氏は理系出身で、将来のリスクを分析する専門職「アクチュアリー(保険数理人)」の資格を持つ。日銀のマイナス金利政策による運用難など生保業界に逆風が吹く中、異例の経歴を持つ新社長は、日生の「首位」の地位を守り抜けるのか――。

   「トップはお客様や社会からの信頼の証し。引き続きトップにこだわっていきたい」。東京都内で1月25日に行われた交代発表記者会見で、清水氏は、売上高に当たる保険料等収入で、引き続き首位を死守する考えを強調した。

  • 新社長就任で日本生命はどうなるか― (画像はイメージ)
    新社長就任で日本生命はどうなるか― (画像はイメージ)

首位に返り咲き

   トップへの執着の背景には、2014年度の痛恨事がある。日生は14年9月中間決算の保険料等収入で、初めて首位の座を第一生命保険に明け渡し、15年3月期の通期でも2位が確定した。

   第一生命は「助け合い」を旨とする相互会社から株式会社に転換し、2010年4月に東証1部に上場。米保険会社の大型買収や、銀行窓口を通じた商品販売の拡大などの積極策で保険料等収入を伸ばしていた。

   これに対し、日生は保険金不払い問題やリーマン・ショックの発生後、守りの姿勢に徹し続けた結果、100年以上も続いたとされる首位を奪われ、ガリバーとしてのプライドがズタズタにされたのは想像に難くない。当時の決算発表会見で、担当役員が「看過できない」と悔しさを露わにしたのは、今も語りぐさだ。業界では「首位を奪還するまで、筒井氏は社長を交代できない」とささやかれた。

   社長4年目だった筒井氏は、なりふり構わず首位奪還へ動いた。守りの姿勢を180度転換し、三井生命保険を買収。オーストラリアの大手銀行から生保事業を買い取り、規模拡大を図った。作戦が奏功し、2016年3月期では日生が首位に返り咲いた。

守りから攻めに

   しかし、安堵したのもつかの間、今度は日銀が2016年1月に導入を決めたマイナス金利政策が生保業界を直撃した。超低金利で資産運用環境が極めて厳しくなる中、筒井氏は中期経営計画を急きょ修正。17年度から4か年の新たな新計画を策定し、M&A(企業の買収・合併)に5000億円を投じることなど、収益強化策を打ち出した。

   守りから攻めに転じた筒井氏が、満を持して後任に抜擢したのが、日生社長としては初となるアクチュアリー有資格者の清水氏だった。清水氏はリスク分析や商品開発といった専門分野に明るいだけでなく、総合企画部長や資産運用部門の担当役員も歴任。筒井氏は記者会見で、清水氏について「人口減少や超低金利という転換期のかじ取りを任せるに足る人材」と太鼓判を押した。

   だが、新社長が背負う課題は大きい。国内市場は縮み、日生が得意とする「生保レディー」による営業攻勢で契約が伸びた時代はとっくに終わっている。ライバルとの競争が激しい中、ガリバーの地位を死守するためには、海外展開を含め、より大胆なM&Aも必要になりそうだ。環境激変に対応した成長戦略をいかに描くか、清水氏の手腕がさっそく試される。

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