2024年 4月 19日 (金)

「商品先物取引」って本当に「怖い」の? 取引所と取引会社に「キホンのキ」から話をきいた

提供:第一商品

少額の「証拠金」を預けることで多額の取引ができる「レバレッジ効果」

   先物取引は、金など特定の商品を将来の期日を決めて、その時点までに売買する、という取引方法。具体的には、期日までに「反対売買」を行う。つまり、最初に買う契約をしていれば期日までに売ることになり、逆に最初に売る契約をしていれば買うことになる。精算は「現在の契約時の価格」と「将来の反対売買時の価格」との「差額」だけのやりとりで取引を終了させる(「差金決済」という)。

   次に、実際に取引している方と日々接している第一商品の羽馬ゆきえさんに聞いた。

第一商品 日本橋支店 主任の羽馬ゆきえさん
第一商品 日本橋支店 主任の羽馬ゆきえさん

――先物取引にはどのような特徴がありますか?

羽馬ゆきえさん:先物取引は、価格が「上がる」か「下がる」かを予測して利益を狙う投資方法です。買って値上がり益を狙うのが通常の投資ですが、先物取引では下がると予測したら先に売り、将来安い価格で買うことで、差額分の利益が得られるのが大きな特徴です。つまり値下がりする局面でも利益を得るチャンスがあります。

加えて、少額の「証拠金」を預けることで多額の取引ができる「レバレッジ効果」があるのも特徴です。

――「証拠金」や「レバレッジ効果」とは何ですか?

羽馬:「証拠金」とは契約の担保となる元手資金のことです。その金額は、日本商品清算機構(JCCH)が商品ごとに設定し、それを下限として各取引会社が独自に決めています。第一商品の場合、金1枚(取引の最小単位。金は1枚=1キログラム」)あたりの証拠金は9万9000円(2018年1月16日時点)です。

たとえば金の相場が「1キログラム=500万円」の時を考えますと、金の先物取引では「証拠金」の9万9000円を預ければ1キロ(500万円分)の取引が可能となります。この場合は元手が約50分の1で済むということですね。買っておいて金の価格がたとえば1キロ520万円になった時に売れば、差額の20万円の利益が得られます。元手の9万9000円に対しては、約200%の利益率(元手が3倍)となります。

このように、少額の元手でその何十倍もの金額の取引ができることを「レバレッジ効果」といいます。そのため、商品先物取引はハイリスク・ハイリターン取引とも言われます。

――最初に預けた証拠金以上のお金を支払う可能性もあるのでしょうか?

羽馬:先ほどとは逆に、買っておいた金が値下がりし、預けてある証拠金の担保力が不足した場合、追加の証拠金(専門用語で"不足金"という)を預託しないと取引を続けられなくなります。先物取引に対して「いくら損するか分からない」という漠然としたイメージだけで「怖い」と思われている方もいますが、その理由の1つは、少額の元手で多額の売買ができる分、損失時の負担も大きくなるところにあります。

――そのようなリスクは管理されているのでしょうか?

羽馬:まずはお客様がお取引を始める前に、お客様の資産状況や仕組み・ルールの理解などを厳格に審査しています。その時に「投資可能金額」という、そのお金がなくなっても生活に支障がない上限額をお客様に決めて頂き、その範囲内でお取引して頂くことになっています。かつてはメリットばかりを強調しすぎてトラブルになったケースもあったようですが、現在はルールが整備され、過大な取引にならないようにリスク管理体制がしっかり取られています。

――なるほど。では先物取引を行うにあたり、数ある商品の中で「金」を選ぶメリットは何でしょうか?

羽馬:金は24時間世界中で取引されている国際商品なので取引量が多く、歴史も非常に長いので、情報が豊富です。そして金には「商品」だけでなく「通貨」としての顔もあるため、商品の中でも価格変動が安定しています。また、買った後に値段が下がってしまった場合、差金決済をせず、期日に現物で受ける「現受け」もできます。穀物や原油では個人の現受けは事実上不可能です。

商品先物取引には穀物、原油、ゴムなどいろいろありますが、たとえば穀物の場合は「天候」の善し悪しで急に乱高下することもあり、相場予測の難易度が高いと言えます。

また、株式の場合はその会社が倒産すれば価値がなくなりますし、上場銘柄数が多いため値上がりするのは「どの銘柄か」を考えるのが手間だという方もいるでしょう。一方、値下がり時も利益チャンスがある金先物なら「上がるか下がるか」を判断するだけなのでシンプルです。初心者でも始めやすいと言えます。

――逆に、金先物取引のデメリットはどういったものがありますか?

羽馬:先ほどもお話しましたが、金には「商品」としての顔だけでなく、「通貨」としての顔もあります。他の商品と同じように需要と供給の分析が根底にはありますが、「通貨」の顔を持つことから価格変動の要因が多岐に渡ります。為替、株価、金利、及び世界経済や地政学リスクまでもが変動要因になりますので、時に予測が複雑になります。

――金先物取引では、他にどういうことを念頭に置いておく必要がありますか?

羽馬:「増やすは先物、守るは地金(じがね)」というイメージです。私のお客さまには、将来の円安・インフレ・消費増税に備え、資産保全目的で価値の安定した地金を買っておいて相場を見つつ、レバレッジ効果のある先物で短期的な利益を得たいというスタンスの方が多いです。地金は長期的、先物は短期的な取引という使い分けですね。

金先物取引の取引期限は最長1年です。ですから、まず1年間でどの程度動くかを統計的に把握しておくことをおススメします。当社では年間変動率(※)という指標を使ってお客様に説明することが多いのですが、金の長期平均は約25%です。上場36年分の各年のデータでみても、1年間で2倍や半値になったケースは一度もありません。各資産の年間変動率を比較すると、大体「個別株>日経平均>商品全般>金>通貨>債券」という関係が成り立ちます。つまり、金価格の変動は比較的安定しているため、上値と下値のメドがたてやすく、リスク管理をしっかり行えば初心者でも利益を出しやすい銘柄ではないかと思っています。

※年間変動率=年間変動幅÷年初始値×100%
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