2024年 4月 16日 (火)

警官の職務質問は断れないのか? 任意のはずなのに...「現場」経験した弁護士に聞いた

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   大阪市内で職務質問中にナイフを持って抵抗した男に警察官が発砲し、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。25歳の容疑者は「任意だったので職務質問を断った」などと供述しているという(テレビ朝日ネット版)。

   この事件自体はともかく、ツイッターなどには一般論として「職務質問は任意だけど、実際は断れないの?」といった素朴な疑問点に注目する反応も出た。実際、どうなのか。J-CASTニュース編集部が弁護士に聞いた。

  • 職務質問は任意だが…?(画像はイメージ)
    職務質問は任意だが…?(画像はイメージ)
  • 職務質問は任意だが…?(画像はイメージ)

大阪では警察官が発砲も

   2018年2月18日昼、大阪市内の繁華街で職務質問を受けた男がナイフを持って暴れ出し、警察官が発砲。弾は男の右足に当たり、2週間のけが。公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。朝日新聞(ネット版、18日夜)は、「発砲受けた25歳容疑者『職務質問は任意。急いでいた』」の見出しで配信。テレビ朝日(ネット版、19日)も、「任意だったので職務質問を断った」との容疑者の供述内容を伝えた。

   今回の事件では、容疑者がバタフライナイフを持ち歩き、職務質問後に暴れ出していることから、ツイッターでは、不審な人物に職務質問をかけた警察官の行為に対し「褒めたい」などと擁護・賞賛する声も上がっている。また、今回の事件とは離れ、一般論として「職務質問は任意だけど、実際は断れないの?」といった疑問点が気になる人からの「つぶやき」も見られた。

   職務質問は、警察官職務執行法第2条に定めがあり、その協力への任意性についても同条で「刑事訴訟法に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して(略)連行され、若しくは答弁を強要されることはない」などと記載されている。

   しかし、ネット上の過去の個人ブログやまとめサイトなどには、職務質問を受けた際、「任意だから」と断ろうしても、結局「3時間、話を聞かれた」、「大勢の警察官に取り囲まれて大変なことになった」といった報告もあがっている。公務執行妨害で逮捕されるケースもありうる、との指摘も出ている。一方で、「薬物捜査で『任意の壁』、職質逃れが急増~(略)」(産経ニュース、17年6月29日配信)といった、「任意性」をめぐる職務質問の難しさに焦点をあてた記事もある。

任意というより「非強制」

   実際、「任意だから」と職務質問への協力を断ることはできるのだろうか。事務所サイト上で「職務質問」(と任意同行)をテーマにした解説を載せているヴィクトワール法律事務所(東京都中央区)の徳永祐一弁護士に話を聞いた。

「まず、法律上、職務質問への協力は任意であり、拒否することは可能です」

というのが大原則だ。一方で、

「『任意』と表現すると、自身の好き勝手に判断してよい、という風にも聞こえますが、実際上は、『非強制』(警察が強制はできない)という程度に捉えた方がよいと考えます」

と指摘する。職務質問(と任意同行)は、強大な権力の行使であることから人権の観点から批判されることも多い一方で、優れた警察官が、捕まっていない犯罪者や犯罪予備者に適宜に職務質問を行い、任意同行を求めることで、犯罪者の検挙につなげてきたという現実もある。

   そうした職務質問の有効性を踏まえると、一般的には質問へは協力した方が「楽である場合が多い」。あえて協力しない場合は、「何かやましい点があるのではないか」と疑われることになり兼ねないからだ。応援の警察官を呼ばれ、数人に周囲を囲まれるケースも実際にある。

7、8人の警察官に取り囲まれることも

   それでも、本当に緊急の用事で急いでいるなどして協力したくない場合は、

「断固として強い意志を示して拒否すべきです」

と助言する。スマートフォンで警察官との会話を録音したり、「拒否しているのに職務質問を強制することが法律上許されるのか、弁護士に確認してみる」と申し出たりすることが有効だそうだ。

   しかし、こうしたやりとりの際に注意が必要なのは、押し問答になって強く抵抗した場合などに、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕される可能性があることだ。手を使って警察官に触れるなどは避けるべきで、あくまで冷静なやりとりをする必要がある。

   徳永弁護士自身も、男性からの電話依頼で、職務質問を拒否して7、8人の警察官に囲まれた状態の現場に赴いたことがある。しばらく警察官らとやりとりをしたが彼らは立ち去ろうとせず、男性と移動を始めると付いてきた。最終的に男性はタクシーに乗って無事立ち去ったが、一時は一緒に乗り込もうとする警察官もおり、「なかなか大変でした」。こうした経験も踏まえ、「法律の建前を示したいといった安易な気持ちで協力を拒否するのは、かえって時間もかかるし、やめておいた方がよさそうです」とアドバイスした。

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