2024年 4月 24日 (水)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
国会論戦で注目 裁量労働の考え方

   裁量労働をめぐる厚労省の不適切なデータが問題になって、国会が盛り上がっている。

   2018年2月19日の衆議院予算委員会において、加藤勝信厚労相は、平均的な残業時間について、一般労働者と裁量労働者で異なる基準で質問した不備を認め、謝罪した。今後は、関係法案をいつどのように出すかという政治問題になっている。法案内容は、残業時間上限、高度プロフェッショナル制度、裁量労働の拡大だ。

適用除外対象者はアメリカで2割、フランスで1割...

   野党は、6党で反対姿勢である。衆院では旧民進党が3分裂して、その中で希望の党の動向が注目されたが、やはり組合の支持を得たいのか、先祖帰りして、徹底抗戦である。

   労働は、教育と並んで誰でも議論に参加できる話題だ。そして、個人の体験に基づく意見がでて、百家争鳴となりやすい。

   フェアになるよう筆者の経歴をいえば、役人時代二十数年、民間で大学教授十余年で、前者では労働基準法適用除外(いわゆるホワイトカラーイグゼンプション)、後者では裁量労働である。

   労働時間規制の縛りを受けていなかったわけで、日本ではかなり珍しい経歴だ。日本では、欧米における適用除外対象者の労働者に対する割合は、アメリカで2割、フランスで1割、ドイツで2%程度といわれている。日本で、この数字をみるのは難しい。労働時間でいえば、管理者は含まれないが、それ以外は基本的に労働基準法の対象である。ただし、現業を除く国家公務員は基本的に適用除外である。となると、日本での適用除外者は、現業を除く国会公務員50万人程度ということになる。それ以外のほとんどのサラリーマンは労働時間管理で労働基準法の適用になっているというのが建前だ。

   そこで、裁量労働が議論になると、一応労働基準法の対象であるが、残業時間はみなし労働時間となって定額になる。裁量労働が拡大すると聞いただけで、まるで自分も裁量労働者になるような感じだろう。現状で残業時間分の残業手当をもらっていないとなると、その状態が合法化されると思う人は多いのではないか。

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