2018年 11月 21日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 「もう顔も見たくない」コミュニティの亀裂

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   今回はフロリダ州ダニーデンにある、友人夫婦が住むコミュニティの「トランプ」をめぐる人間模様について書きたい。このコミュニティにはスノーバード(snowbird)と呼ばれる避寒者が多い。米北部やカナダなどの厳しい寒さを避けて、冬の4、5か月間を温暖なフロリダで暮らす。

   前回の記事「大統領支持を公言できない市民の本音」で、友人夫婦の知り合いのクリス(70代)は自宅に私を呼び、それまで溜めていたものを一気に吐き出すように、トランプ大統領を支持する熱い思いを語ってくれた。

  • フロリダのハネムーン・アイランド州立公園などの美しいビーチは、冬場、多くの避寒者でにぎわう
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顔色が変わった友人

   クリスの自宅から戻ってくると、友人は待ち構えていたかのように、「で、クリスは一体どんな理由で支持してるんだって?」と私に聞いてきた。

   クリスは用意していたトランプ支持の資料を封筒に入れ、しっかり封をして私にくれた。トランプ氏に強い反感を持つ、その友人に見られないために。

   その友人の家では話したくないと言っていたので、ためらっていると、「どうせ記事に書いたらみんなが知るんだから、いいでしょ」と言う。

「自分で聞いてみたら?」
「友情にひびが入るのは、避けたいのよ」

   クリスがくれた資料に封がしてあると知ると、「誰に見られたくないのかしら。たぶん、自分の妻だわ。彼女はトランプ支持者じゃないはずよ。以前、労働組合に関わっていたらしいし」と言った。

   じつはクリスの妻も、トランプ支持者だった。その妻は「でも、私はプロチョイス(中絶権利擁護派)。そこはトランプとは意見が違うの。妊娠して苦しんだ人を何人も見てきたから」と私に話していた。

   フロリダ滞在の初日、空港からこの友人のタウンハウスに到着するやいなや、彼女は二軒先に住むジェリー(79歳)と立ち話を始め、私を紹介した。

   この「岡田光世『トランプのアメリカ』で暮らす人たち」の連載を書いていると知ると、ジェリーは声をひそめ、「あなた、私の意見はたぶん聞きたくないでしょうね。トランプは素晴らしい大統領だわ」と笑った。極端に民主党寄りのニューヨークから私が来た、と知ったからかもしれない。ジェリーはウエストヴァージニア州、夫のアルはオハイオ州出身だ。

   それを聞いたとたん、友人の顔色が変わった。家に戻ると、彼女は落胆した様子でつぶやいた。

「ジェリーもアルも、とてもいい人なのに。一体どうして、トランプなんか支持できるの?」
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