2018年 7月 20日 (金)

テレ朝記者「公益通報」で保護できる? 野党VS消費者庁で分かれた見方

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   財務省の福田淳一事務次官によるセクハラ問題では、被害を名乗り出たテレビ朝日の記者が週刊新潮に録音データを渡していた。取材の記録を第三者に渡すことは記者倫理の面からは問題があると考えられているが「それ以外に方法がなかった」との見方も根強い。

   これに加えて、2018年4月19日に行われた野党のヒアリングでは、女性記者の行為は、公益通報にあたる可能性があり、「必ずしも不適切とは言えないのではないか」といった声もあがった。

  • 野党のヒアリングでは、女性記者の行為が公益通報者保護法上の保護対象になり得るという議論も出た
    野党のヒアリングでは、女性記者の行為が公益通報者保護法上の保護対象になり得るという議論も出た

福田氏の発言は侮辱罪や名誉棄損罪にあたる可能性

   テレビ朝日の篠塚浩・取締役報道局長は2018年4月19日未明の記者会見で、

「当社社員が取材活動で得た情報を第三者に渡したことは、報道機関として不適切な行動であり、当社として、遺憾に思っている」

と述べた。メディア各社では、取材で得た情報を紙面や放送以外で公表したりすることは記者倫理上重大な問題があると考えられている。このことが「遺憾」発言につながったとみられるが、4月19日の午後の野党ヒアリングでは異論が出た。

   希望の党の柚木道義衆院議員は

「公益通報者保護制度上は、私も色々確認したが、結局、強制わいせつなど犯罪行為にあたる(事柄の通報が保護対象になる)。セクハラ(今回のセクハラ事案)で言えば、侮辱罪や名誉棄損罪があり得るが、そういう場合には本法(公益通報者保護法)の公益通報にあたり得るので、保護の対象になる」

との見方を示し、

「この被害女性による取材データの外部提供は同法で定められた保護の対象になり得る行為の可能性がある。これは必ずしも不適切とは言えないのではないかというのが、私が確認した中での専門家の見解」

   などと話した。

テレ朝内部の犯罪行為の通報なら保護対象になるが...

   公益通報者保護法では、労働者が勤め先の違法行為などを事業者内部や行政機関、メディアなどに一定の要件を満たした上で告発した場合、勤め先が告発を理由に降格や減給などの不利益な取り扱いをすることを禁止している。

   ただ、公益通報者保護法を所管する消費者庁の担当者は、この法律は

「労働者が労務提供先について犯罪行為などが起こっているといった場合に、所定の通報先に所定の要件を満たして通報したに保護されるという法律」

だとして、

「仮にテレビ朝日の中で犯罪行為などが行われているのであれば、この法律の保護の対象になり得るが、テレビ朝日の中ではなく他の場所ということになるので、この法律の直接的な保護の対象にはならないと考えている」

と説明。財務省のセクハラを通報したとしても保護の対象にはならないとの見方を示した。その上で、音声データを新潮に渡したことの是非については

「私どもは状況を十分承知していないので、コメントは差し控えさせていただきたい」

とするにとどめた。

   ヒアリングでは、労働問題に詳しい中野麻美弁護士も発言。仮に今回の女性記者の行為が公益通報者保護法で保護対象にならなかったとしても、別の法律で保護すべきだと訴えた。

「(記者が)身の安全が保たれないことを痛感し、そして、この告発をしているわけだから、該当する法律がないというのは、私は疑問に思う。例えば記者の職場において、事業者が守らないといけない法律として、労働安全衛生法であるとか、その他の法律がある。これらの法律によれば、具体的に守らなければならないことというのがあるはず。それらが報道の自由と根底でつながっている。しかも国民の知る権利だ」
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