2018年 12月 19日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
パロディ動画が映す金正恩へのジレンマ

印刷
糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   知り合いのベン(61)は、黙って自分のiPhoneを私に差し出した。画面にあるのは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、板門店(パン・ムンジョム)にある南北軍事境界線に立つ、テレビで繰り返し見たあの動画のようだった。が、最後が違った。

   金氏が文氏の手を取り、2人が境界線を超えて北朝鮮側に入ったとたん、地面が真っ二つに割れて文氏が中に落ち、苦しみの叫び声が聞こえるなか、地面が閉じるという衝撃的なパロディ版で、私は思わず声を上げた。

   ネット上で流れている動画で、どれだけ拡散されているのかわからないが、ベンのiPhoneに保存してあったらしく、北朝鮮の話になるとすぐにこの動画を見せた。

  • ネット上で出回っている南北首脳会談のパロディ動画の一部
    ネット上で出回っている南北首脳会談のパロディ動画の一部

大統領支持者の中にも懸念

   この連載の前回の記事「『米朝首脳会談でノーベル賞を』めぐる分断」で登場したベンは、 ニューヨーク市に住む正統派ユダヤ教徒で、ユダヤ教の教えと伝統を頑なに守り続けている。

   当日(2018年5月3日)はちょうど、ユダヤ教の祭典「ラグ・バオメル(Lag Baomer)」が行われ、アメリカでも多くのユダヤ教徒がかがり火をたいて祝った。

   動画を見たのは、ベンの家族に誘われて、そのお祭りに行く車の中でのことだった。ベンの家族や親族はほぼ全員がトランプ氏に投票し、その支持の強さは今も変わらない。

「この男(金氏)はナイーブな少年じゃない。頭がよく、抜け目ないやつだ。人も態度も変わったように見えるのは、この男の戦略さ。核を手放すわけがない。やつの手にまんまと引っかかるわけにはいかないんだ」

   ベンにとって北朝鮮は今も、イランと同じように信用ならない相手なのだ。

   党派に関係なく、「金氏にうまく丸め込まれ、のむべきではない条件をトランプがのんでしまうのでは」とトランプ氏の交渉力を疑問視する声、「もし米朝会談がうまくいかなかったら、今度こそトランプが戦争を始める」と懸念する声もある。 知り合いのジョナサン(30代)は、「そうなったら日本に、北朝鮮の難民が押し寄せてくるんじゃないか」と私に言った。

   その2日後、マンハッタン南端のバッテリーパークシティでくつろいでいると、ロシア人やアメリカ人の集団が、第二次世界大戦のヨーロッパにおける戦勝を記念し、行進していた。連合国がドイツを降伏させた5月8日を、週末に前倒しで祝っていたのだ。

   参加していた60代くらいのアメリカ人女性が、ビラを手渡しに来た。

   「アメリカの元軍人も、一緒に祝うのよ。ソ連とアメリカは、ともに戦いましたからね」と私に話しかけた。

   「私は日本人だから、敵でしたね」とわざと深刻な顔で答えた。

   するとその女性は私を抱き寄せ、笑顔で言葉を返した。

「何を言うんですか。私たちはもう友達。今、朝鮮半島で起きていることを見てごらんなさい。もう、敵も味方もないんですよ」
今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!
iQos_JC.jpg
ウチの旦那、煙草吸うんですけど... 揉めずに上手く解決するには?

11月22日は「いい夫婦の日」。パートナーとよりよい関係を築いていくために、日々の暮らしやコミュニケーションについて改めて考えるいい機会です。もしもパートナーに対して悩んでいることがあるのなら、これを機に「夫婦で話し合い」をしてみるのもいいかもしれません。思っていることや考えていることは、口に出さなければ伝わらないもの。「私たちが、今より、いい関係」になることを目指し、ポジティブに話し合うことが大切です。

PR 2018/11/19

ad-kyouryoku-kaidan2.png
秋の夜長に「最恐怪談」はいかが?

この秋、「最恐怪談」が、さらにパワーアップして帰ってきました。赤羽の地に集まったのは、怪談界でも指折りの3人の語り部たち。今宵は、背筋も凍る、このお話からお聞かせしましょう......。

PR 2018/10/9

姉妹サイト
    loading...

注目情報

PR
J-CAST会社ウォッチ会員向けセミナー
しごとの学校
  • ついに第1号か!? GDPR違反で巨額制裁金 課される企業はあの......

  • 追悼
    J-CASTニュースをフォローして
    最新情報をチェック
    電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中