2018年 10月 21日 (日)

ソニー吉田社長が披露した 故・盛田昭夫氏とのエピソード

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   業績好調のソニーが、「堅実」と評される中期経営計画(2021年3月期までの3か年)をまとめた。18年5月22日、発表した。本業で生み出すお金の量を示す営業キャッシュフローを経営指標の中で最重視し、金融を除いて累計2兆円と、前の3か年と比べて5000億円超の上積みを目指す。4月1日に就任したばかりの吉田憲一郎社長は記者会見で「いたずらに規模を追わず、利益の質を重視する」と宣言した。財務畑が長い吉田氏らしい中計となった。

   2兆円のキャッシュフローのうち、1兆円を設備投資に回す計画。中心になるのは、スマホで市場をリードする画像処理センサーだ。今後は自動運転分野での需要増も見込み、中計期間中、最大の研究開発と設備投資を行う。

「リカーリング」も強化

   テレビやオーディオはソニーブランドを最大限活用した「プレミアム路線」を堅持。今の2019年3月期、赤字を見込むスマホは「総力戦で事業の安定化に取り組む」(吉田氏)考えだ。長期的には、4K内視鏡などの「医療」と、犬型ロボット「aibo」のような「人工知能(AI)とロボットの組み合わせ」にも力を入れる。

   ハードウエアの販売に頼らず、ソフトウエアやサービスで継続的に稼ぐ「リカーリング」も強化する。音楽、映画、ゲームなどのコンテンツIP(知的財産)が主な対象だ。その象徴が、中計発表直前に明らかにした、EMIミュージックパブリッシングの子会社化。アブダビの投資会社からEMI株の約60%を約19億ドル(約2100億円)で追加取得し、保有比率を約90%に引き上げる。EMIはクイーン、キャロル・キング、カニエ・ウェスト、アリシア・キーズらの楽曲210万曲の著作権を管理している。ソニーグループは既にビートルズなど230万曲を超える楽曲の権利を持っており、世界有数の管理会社になる。

   音楽市場はインターネットの普及に伴い最近まで縮小が続いていたが、定額ストリーミングサービスの拡大で再び成長軌道を描いている。そこで重要になるのが、著作権管理。ここで圧倒的な量と質を確保する戦略だ。人気キャラクター「スヌーピー」などの権利を管理する米ピーナッツに出資するのも、IPビジネス強化の一環。200億円超を投じて、6月末までにピーナッツ株式の約39%を取得する。

「ソニーはもう一度、謙虚に米国から学ぶべきだ」

   発表の冒頭、吉田氏は、ソニー創業者、故盛田昭夫とのエピソードを紹介した。1993年9月、赴任先のニューヨークで「ソニーはもう一度、謙虚に米国から学ぶべきだ」と言われたという。盛田氏の危機感は、インターネットだったのではないかと、吉田氏は振り返った。ソニーはその後、インターネットへの対応が遅れ、経営に深刻な影響を及ぼした。吉田氏は「経営における危機感、謙虚さ、長期視点の大切さを感じている」と心情を吐露した。

   2018年3月期連結決算(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比約2.5倍の7348億円と、20年ぶりに過去最高を更新した。おごらず、浮かれず、堅実な成長を実現できるか。吉田氏の手腕が問われている。

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