2024年 4月 29日 (月)

中国の消費者が求める輸入品はこれ  11月のイベントは日本のチャンスになるのか 

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   2018年11月に上海では初めての中国国際輸入品博覧会(「中国国際進口博覧会」)が開かれる。「日本は最大の展示スペースを確保したが、これでも日本企業の展示ニーズに応えられるか、少々心配している」と在北京の日本政府機関のある役人は嘆く。4月10日に中国政府は博覧会の企画を公表し、5月にはすでに多くの日本企業がJETRO(日本貿易振興機構)などを通じて申請を始め、すぐにJETROの申請したスペースが埋まってからも、まだぞくぞくと申請が来ているそうだ。

   日本の製品が中国の消費者にどのように届くか、さらに中国の消費者がどんな製品に興味を持つか、非常に注目されている。

  • 上海の南京西路は買い物客でいっぱいだ。輸入品の需要も高い
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「国内では満足できない」消費者

   貿易摩擦への対応、消費のレベルアップの観点から、輸入拡大はすでに中国経済発展における重要なコンテンツとなっている。どの商品の輸入を増やすべきか。中国商務部(省に相当)は関連のアンケート調査をし、その答えを出した。

   商務部がこのほど1400人近い消費者を対象に行った調査によると、消費者の良質な輸入商品に対する消費願望は強まっており、月収2万元(約34万円)の消費者世帯はみな輸入品を購入したことがあり、また「直近の1年以内にすでに輸入品を購入、あるいは購入する気がある」という消費者は86.6%を占めた。「輸入品消費が商品消費総額の3割以上を占めている」と答えた回答者も20%を超えている。

   輸入品の種類別に見ると、化粧品、育児用品や時計、メガネなどに対する需要が高く、「今後半年以内の購入を増やしたい」という願望も比較的に強い。

   48.4%の消費者が化粧品に関心があり、そのうち75%の消費者が「国内では満足できない」と考えていることが明らかになった。38%の消費者が「今後半年の間に輸入化粧品の購入を増やす」と回答した。

   育児用品の中で、「国内では満足できない」という答えが多かったのは、乳幼児用の粉ミルク、栄養補助食品、紙おむつで、その比率はそれぞれ78.8%、49.9%、46.2%となっている。育児用品を購入する際、9割以上の消費者が最も関心を払うのは安全面である。今後半年の間に、輸入育児用品について「購入を増やす」と回答した消費者は36.9%と、「現状維持」と答えた44%に次いで、比率はかなり高い。

ニーズに後れを取る日中双方の企業

   さらに、時計、メガネに関心を持つ消費者の中で、78.9%が「国内市場では満足できない」と答え、今後半年の間に、37.1%の消費者が輸入品購入を増やそうとしている。

   また、乗用車の中でもSUV、真珠・宝石などの装身具、食品ではフレッシュミルク、サプリメント食品、水産品、果物、家具、日用品ではクッキングツール、スーツケース、バッグなどについても、消費者は国内市場に対して不満を抱いている。

   商品の種類によって、消費者の関心も異なる。食品類、育児用品で消費者が最も関心を払うのは安全面であり、化粧品、建材・住宅設備機器、文化・教育・スポーツ・レジャー用品ではクオリティであり、時計・メガネ、装身具などでは、デザインである。

   中国の消費者の輸入品に対する高い需要に比べて、供給側である中国の流通企業の方が時代遅れであることは否めない。

   商務部の流通企業1000社余りに対する調査によれば、今後1年以内に輸入を増やすことにしているのはわずか7.4%にすぎず、大部分の企業は商品の輸入について現状維持と答えており、急速に高まっている消費者の輸入品需要に後れを取っている。

   中国の企業側が輸入を増やそうとしている分野は順に、食品、育児用品、化粧品、時計、メガネと乗用車などである。消費者の輸入品需要の高い電器、電子機器分野では、輸入の減少というプランさえ企業側に現れている。

   中国の消費者がもっとも拡大してもらいたい輸入品の多くは、日本企業の得意分野であるが、中国へ輸出拡大を図る日本企業、電子取引を使って中国での販路を拡大していこうとする企業は、現在けっして多いとは言えない。

   11月の輸入品博覧会の開催で、日本製の日常用品などに対する需要が高まるのは間違いなさそうだ。しかし、中日双方とも、企業側に十分にそれに対応する行動は取れていないのが現状だ。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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