誤射被害で職員死亡、森林管理局の悲痛コメントが反響呼ぶ 「彼は38歳とまだ若く、奥さんと3人の小さな子供がいて...」

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   北海道の国有林でハンターの誤射により森林管理局の男性職員(38)が死亡する痛ましい事故が起きた。当局が、亡くなった職員を悼みつつ狩猟ルールの徹底を訴える文書を公式サイトで公表したところ、ツイッター上では「行政らしくないほど、仲間を奪われた痛恨の叫びがきこえるような文章」と、ハンターではないとみられる人達も巻き込んで、悲しみが広がっている。

   J-CASTニュースが、文書を局長名で公表した林野庁の北海道森林管理局に話を聞いた。

  • 北海道森林管理局の公式サイト
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局長名で「狩猟者の皆様へ」

   事故は2018年11月20日、北海道恵庭市の国有林で起きた。亡くなった、同局恵庭森林事務所の男性職員は、同僚と2人で台風による倒木処理などにあたっていた。ところが、ハンターの自営業男性(49)が(各メディア報道によると)「シカと間違えて」撃ち、男性職員を死亡させた。翌21日、道警は誤射したハンターを業務上過失致死の疑いで逮捕した。同局などによると、男性職員は、赤色のジャンパーとオレンジ色のヘルメットという目立つ格好をしていた。

   北海道森林管理局は事故を受けて12月11日、道内すべての国有林への一般狩猟者の立ち入りを19年1月15日から(狩猟期間が終わる3月末まで)禁止すると発表した(ただし、銃器を用いた有害鳥獣などの許可捕獲は従来通り続ける)。発表前日の10日からは、事故現場を含む石狩森林管理署の管内国有林への入林を禁じていた。

   同管理局の公式サイトでは、11日の入山禁止発表と同時に、「狩猟者の皆様へのお願い」と題し、約1600字に及ぶ、新島俊哉局長名の文書も公表。事故は警察により捜査中だ、とことわったうえで、亡くなった職員が、先に触れたように目立つ格好をし、さらに「木々は落葉しており、見通しのよい状態」で、「開けた林道上を狩猟者に向かって歩いていたのに誤射されたのです」と指摘。こうした点から、「狩猟の基本ルールである矢先の確認、獲物の確認」や法令が守られていなかったとして、

「大切な職員を失った私としては、常日頃からこのようなことが行われていたのではないか、さらには、本当にすべての狩猟者一人一人にまで、狩猟関係法令と狩猟ルールが徹底されているのだろうか、と疑念を抱かずにはいられませんでした」

と吐露。そして、

「亡くなった職員は平成14(編注:2002)年に北海道森林管理局に採用され、これまで16年間、現場の最前線である森林事務所や森林管理局・署内において幅広い業務を経験し、将来、必ずやリーダー的な役割を担うであろうことが期待された優秀な人材でした」
「彼は38歳とまだ若く、奥さんと3人の小さな子供がいて、子供達もお父さんと遊ぶのが大好きでした」

と、その仕事ぶりやプライベートにも触れ、人柄を偲んだ。

「二度と今回のような事故を起こしてはならないのです」

   さらに、

「一家の大黒柱を失った奥さんや子供達をはじめご両親の大きな悲しみは、並大抵のものではないことは誰でも理解できると思います。一方の加害者においても、この罪を一生背負って生きていかなければなりません」
「猟銃による事故は、このように被害者と加害者の双方に対して、家族を巻き込んだ大きな不幸を突然もたらすことになり、二度と今回のような事故を起こしてはならないのです」

と訴え、続けて、関係法令やルール徹底の重要性を訴え、狩猟者との協力のうえでエゾシカ被害対策などに取り組む考えも示している。

   この文章はツイッター上で徐々に注目を集め、12月20日までに、

「行政文書という以上に仲間の職員を銃によって奪われた痛恨の叫びがきこえるような文章」
「(行政らしくない)強い悲しみ怒りを含んだ文章だから伝わってくる」
「その事務的タイトルからは予想できないくらい感情がストレートに表現されている」

などと、「行政らしくない」ほど悲痛な思いや再発防止に向けた強い意志が表現されていると、好意的に受け止める人が相次いでいた。明示はされていないが、ハンターではない人からの反応も含まれているようだ。

   林野庁によると、国有林での誤射死亡事件は、1998年に起きた鹿児島・屋久島の件以来。

「同じ狩猟者として...」と別エリアのハンターから謝罪電話も

   J-CASTニュース編集部は12月20日、北海道森林管理局の保全課に今回の局長名文書について話を聞いた。「行政文書らしくない」ほど強い感情が出ているとの指摘がある点について担当職員は、

「それほどショックが大きく、衝撃的だったということだと思います。その思いを伝える手段として、こうした局長メッセージとなりました」

と説明。文書の公表以降、北海道エリア外のハンターで、「文章を読んだ」という人から

「同じ狩猟者として申し訳ございません」

という電話があるなど、「身につまされる」といった反応が多く寄せられているという。

   ただ、「(誤射の)被害には、職員だけでなくハンターの人達もあう可能性があり、共通の問題なのだと感じていただければ」とも呼び掛けていた。亡くなった職員とは以前、一緒に仕事をしたこともあるそうだが、記者が「お人柄」を尋ねると、

「それは...公表文書に書かれている以上のことは...私の口からは...」

と無念そうに、言葉少なに答えた。

   今回の「狩猟者の皆様へのお願い」文書については、公式サイト上の公表だけでなく、北海道猟友会(札幌市)の会長に対し、事故再発防止の要請文とともに文書で渡している。同猟友会サイトをみると20日現在、亡くなった職員と遺族に「哀悼の意」を表し、狩猟を自粛する旨を表明している。

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