2024年 4月 25日 (木)

北方領土交渉「行き詰まり」の真実 法政大・下斗米伸夫教授「アプローチは全く正当です」

メディアは目先の問題だけでなく、背景も解説を

―― 平和条約に向けてのボトルネックは、やはり世論でしょうか。日本経済新聞が1月25~27日に行った世論調査では、「4島の一括返還」をすべきだと答えた人は27%で、同様の質問をした18年11月から6ポイント低下しています。最も多かったのが「2島をまず先に返還」の41%で、5ポイント減。「2島だけ返還」が6ポイント増えて11%でした。

下斗米: 自民党を含めて、政府は丁寧に説明する必要があると思いますね。いずれにせよこの数か月で決着できなければ、そのチャンスは遠のくと思います。

―― メディアの報じ方は世論に影響すると思いますが、メディアに対して望むことはありますか?

下斗米:目先の島の問題だけではなく背景も含めた解説が必要だと思います。連合国の内部対立(英国が毛沢東政権容認、米国が台湾の国民党支持で、日本は台湾を「放棄」とした、この流れで朝鮮半島、千島列島も放棄となった)とか。国民の大多数は、冷戦の背景を抜きにした日ロ関係の認識しか持っていません。歴史教育を自民党政権がやってこなかったつけがまわってきたともいえます。今からでも、北方対策協議会などできちんとした説明をすれば、分かってもらえると思うのですよね。

下斗米伸夫さん プロフィール
しもとまい・のぶお 1948年札幌市生まれ。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修士課程修了、同大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。専門は、ロシア・CIS政治、ソ連政治史。成蹊大学教授を経て、法政大学教授。


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