2019年 10月 21日 (月)

「アンサイクロペディア」引用の産経記事 執筆の潮匡人氏はネット批判に反論した

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   産経新聞社が発行する月刊誌「正論」2019年5月号で、ウィキペディアのパロディーサイト「アンサイクロペディア」から説明文が引用されて記事が掲載されていることが、ネット上では波紋を呼んでいる。

   引用されているのは、ポリティカル・コレクトネスについての説明文。ネット上では、「新聞社でそれはないでしょう」「それを出典にされたところで......」などと否定的な声が相次いだ。J-CASTニュースは執筆者、そして産経新聞社に取材し、真意を尋ねた。

  • 月刊誌「正論」5月号(編集部撮影)
    月刊誌「正論」5月号(編集部撮影)
  • 「産経新聞社公認済」の表示(アンサイクロペディアのサイトより)
    「産経新聞社公認済」の表示(アンサイクロペディアのサイトより)

サイトには「産経新聞社公認済」

   物議を醸しているのは、産経新聞が発行する月刊誌「正論」(5月号)に掲載された「ポリコレという言葉狩り」と題した記事。評論家の潮匡人(うしお・まさと)氏が執筆した。

   潮氏は、自民党の杉田水脈衆議院議員が月刊誌への寄稿で、LGBT(性的少数者)について「『生産性』がない」と表現して批判されたことや、第一次安倍政権下で当時の柳澤伯夫厚労相が女性について「産む機械」などと発言して批判されたことなどを例示。「平和や人権、男女平等など、タテマエの綺麗事ないし偽善を『政治的に正しい』とするポリコレ社会に行き着いた」と主張し、「もはや政治的な正しさにこだわる余裕はない。タテマエの綺麗事やホンネを覆い隠す偽善は、もう聞き飽きた」と述べていた。

   ところがこの記事中、潮氏は「フリー百科事典『アンサイクロペディア』」(文中での表記)の説明文を引用する形で、ポリティカル・コレクトネスについて「言葉の使い方に偏見や差別が含まれていないことを指す言葉である。日本語では『政治的に正しい』と訳される場合もあるが、一般的には「言葉狩り」を婉曲にオブラートに包んであたかも言論の自由を侵害するものではないかのように装うために言い換えているものであると認識されている」と記している。

   アンサイクロペディアは、ウィキペディアのパロディーサイトとして知られる。サイトでは、「誤りと嘘八百でいっぱいの百科事典です」「記事にある情報の正確性、妥当性は殆ど考慮されません」と紹介されている。

   記事の一部は産経新聞の公式サイトに6日付で転載され、引用部分が見られる状態だった。ツイッター上では7日ごろから、「正論」でアンサイクロペディアの文が引用されていることを指摘する投稿や、同サイトがこの引用を受けて掲示した「産経新聞社公認済」という表示が注目を集めていた。

   潮氏と産経新聞社側の対応に、ネット上では、

「ウィキペディアをソースにするのも避けるべきなのに、よりによってアンサイクロペディアをソースにしちゃいましたか潮匡人先生と産経新聞社は」
「Wikipediaどころか、アンサイクロペディアを引用するなんて大丈夫ですか?いくらなんでも新聞でそれはないでしょう」
「『アンサイクロペディア』を引用した潮匡人も恥ずかしいが、これを校閲すらせずに載っけた産経新聞も恥ずかしい」

などと疑問視する声が上がっていた。

別の著書ではアンサイクロペディアが「パロディサイト」であると説明

   J-CASTニュース編集部では8日、潮氏に電話取材をし、直接見解を聞いた。

   潮氏は「ウィキペディアを引用すること、アンサイクロペディアを引用することも恥ずかしいとは思いません。多くの目にさらされているインターネット上の方が正確であることの方がしばしばある」と説明。「アンサイクロペディアの性格を知らないと思い込んでネットに書き込まれたものに大多数が影響されているんだろうと思いますが、『正論』で、詳しくは新書『安全保障は感情で動く』を読んでという趣旨の断りが書いてある」と指摘した。

   実際に、文春新書から刊行された上記の著書で潮氏は、「『ウィキペディア』のパロディサイトであるが、ここでは『アンサイクロペディア』の説明がむしろ本質を示しているだろう」と触れ、ポリティカル・コレクトネスについてのほぼ同一の説明文を同サイトから引用して載せている(新書のほうが引用箇所が長い)。「正論」の記事では、「アンサイクロペディア」に言及する少し前の箇所で、「詳しくは拙著『安全保障は感情で動く』」との但し書きがある。

   潮氏は、「月刊誌は字数の制限などがありますので、いちいち断って書いていたら言いたいことを書けなくなってしまいます。結果的にパロディーサイトであるという説明もなくネットで引用されているのを見た方がおっしゃっていると思いますが、全部の言葉に注釈を付けないといけないんですか。あらゆるものが主観などで書かれている」と回答。引用の是非について踏み込んで聞いたが、「そういう議論はこれ以上続けようとは思わない」などと明確な答えは得られなかった。

   新聞社側から引用をめぐって指摘があったのかどうか尋ねると「楽屋話になるので私の立場で言うべきことではないが結果として(ネットに)出ているのであれば、校閲を通っていると思います。問題になることを予測し、そこの部分を切り取ってネットに流したのは私の判断ではなく産経新聞の判断です。その点に関して私との間のやり取りもありません」と話していた。

   J-CASTニュース編集部では8日、産経新聞広報部にも書面で取材を申し込んだが、「編集に関することにはお答えしておりません」という回答のみ得られた。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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