2019年 7月 21日 (日)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
ほくそ笑む財務省 「老後2000万円」騒動のワナ

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シンプルな数学問題

   今の年金制度は大丈夫で、消費税を社会保障目的税としている国はないからだ。後者はこれまで本コラムで述べてきたので、前者を説明しよう。

   年金は保険である。極端に単純化すれば、平均的な人で20歳から70歳まで保険料を払って70歳から90歳まで年金を受け取るようなものだ。

   所得代替率(年金額の現役時代の給与との比率)を50%とすれば、簡単な数学であるが、保険料は20%になる。70歳で死ねば年金が受けられないが、100歳まで長生きして死ねば所得の1.5倍の年金を受け取れる。

   要するに、年金は保険であり、早く死ぬ人から長生きの人への資金移転なので極めてシンプルな数学問題だ。このため政治的に議論してもスキームとしてはどの国も似たような話にしかならない。しかもその長期的な性格上制度をコロコロ変更できない。このため政争の具にできないというのが世界の常識である。

   今回の報告書騒動をみていると、いかに年金を理解していないかがわかる。年金理解の第一歩として、自分のねんきん定期便を見てみよう。これは、自分の年金保険料払い込み金額と将来もらえる見込みの年金額が書いている。年金額が少ないという人もいるだろうが、払込金額も少ないはずだ。年金額を高くしようとすると年金保険料が高くなるのは上の単純例で述べたとおりだ。

   筆者は、年金専門家として、今の年金制度の土台である2004年改正とねんきん定期便の創設に関わっていただけに、いまだに年金がよく理解されていないのは極めて残念だ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)など。


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