2024年 4月 19日 (金)

1面トップ「控訴へ」→首相が断念表明 朝日新聞が「誤った記事を配信した」と謝罪

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   新聞の1面トップを飾った見出しと全く逆の方針を、直後に政府が発表するという珍しい事態が起きた。元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた2019年6月の熊本地裁判決について、安倍晋三首相は7月9日朝、控訴を断念する方針を明らかにした。

 

   だが、朝日新聞はこの日の朝刊(東京本社最終版=14版△)の1面トップで、「ハンセン病家族訴訟 控訴へ」の大見出しを打っていた。これを受け、朝日新聞は「誤った記事を配信した」とする「おわび」を出した。

  • ハンセン病家族訴訟では、朝日(右)は「控訴へ」、毎日(左)は「控訴断念論」と見方が分かれていた
    ハンセン病家族訴訟では、朝日(右)は「控訴へ」、毎日(左)は「控訴断念論」と見方が分かれていた
  • ハンセン病家族訴訟では、朝日(右)は「控訴へ」、毎日(左)は「控訴断念論」と見方が分かれていた

ヤフトピも1時間で「国控訴へ」→「控訴断念」

 

   7月9日の大手紙朝刊では、1面でハンセン病家族訴訟を扱ったのは朝日のみだ。朝日記事では、

「政府は控訴して高裁で争う方針を固めた。一方、家族に対する経済的な支援は別途、検討する。政府関係者が8日、明らかにした。国側の責任を広く認めた判決は受け入れられないものの、家族への人権侵害を認め、支援が必要と判断した」

としていた。この記事は7月9日の6時47分に「ハンセン病家族訴訟 国控訴へ」の見出しでヤフートピックスに掲載されたが、それから1時間も経たない7時35分には、共同通信配信の記事に差し替えられ「ハンセン病家族訴訟 控訴断念」と全く逆の見出しがついた。

 

   朝日新聞は控訴断念を表明する安倍氏の発言を伝える記事の中で、

「政府は控訴して高裁で争う方針を固めていたが、家族への人権侵害を考慮して判決を受け入れることに転じた」
 

と解説。ウェブサイトに掲載されていた「国控訴へ」の記事の見出しには「おわびあり」の表記が加わり、

「元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決について、朝日新聞は9日朝、複数の政府関係者への取材をもとに『国が控訴へ』と報じました。しかし、政府は最終的に控訴を断念し、安倍晋三首相が9日午前に表明しました。誤った記事を配信したことをおわびします」

と追記された。

毎日は2面で「控訴断念論」

 

   ただ、朝日と同じタイミングで「断念論」を報じる社もあり、「高裁で争う方針」がどの程度確実だったかははっきりしない。毎日新聞は7月9日朝刊の2面に「政府内に控訴断念論」の見出しの記事を掲載。断念論の背景を

「控訴をせずに国の責任を認めるべきだとする意見が政府内で浮上している。元患者が勝訴した2001年の同地裁判決で国が控訴しなかった経緯があるのに加え、今回裁判を続けた場合に参院選への影響も懸念されるためだ」
 

   などと解説。判決を確定させることには官僚から反対論もあるとして、「政府は慎重に検討して近く態度を表明する」

としていた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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